
noakkaon
@noakkaon52
2026年5月18日

カフェーの帰り道
嶋津輝
読み終わった
東京・上野の片隅、繁華街から外れ活気はさっぱりだが、よく言えばのどかな一角にある「カフェー西行」。
ここで働く女給たちの日々を通じて、大正から昭和を生きた市井の女たちの人生を描く連作小説。
女給という仕事、それも流行ってはいないカフェーで、タイ子、セイ、美登里、幾子はなぜ働くのか。
その理由や彼女たちの働きぶりに人生の喜び、おかしみがつまっていました。登場人物たちは気づいていないだろうけど、きらきらとした瑞々しさがまぶしいです。一見、平凡そうな日々の営みには小さくても確かな幸せが必ず隠れているんだと信じられる。
作者の嶋津さんのあたたかい眼差しに、他の小説も読んでみたくなりました。
登場する男性陣も、この時代にはめずらしく女性の生き方に寄りそうような人たち。
時代柄、社会のメインストリームにいないだけで実際にはこうした男性たちがいたから、女性が活躍できる機会もあったんだなと思ったり。
それと「帰り道」というタイトルが好きだなあと。
カフェに集う人たちが、そこで過ごした時間をまといながら帰っていく気分はどんなだろう。
GW明けにじんわりと心に残る読書でした。

