
ぽかり
@popopocari
2026年5月18日
透明な夜の香り
千早茜
読み終わった
改めてじっくりと、この世界に浸った。
読了後の残り香がこれほど透き通っている小説は、きっとここでしか味わえない。
物語の結びは、淀んだ空気が晴れやかなものへと変わることを、信じて疑えないものだった。
樹海のように暗く湿り気が漂う作中で、なぜかずっと、澄んだ香りが鼻腔をくすぐっていた。
終盤、それまで漂っていた湿度が霧散し、すりガラス越しだった現実が、透明度の高いガラスへと切り替わるような感覚を覚える。
不器用だった二人も、ようやく地に足をつけられたんじゃないだろうか。
これからの彼らの人生が、少しでも明るい色彩で満たされるといいな、と勝手ながら願ってしまう。
巻末の小川洋子さんによる解説も素敵だった。
違う視点から物語を紐解く解説に触れたことで、次に再読するときの楽しみがまた一つ増えた。
さて、次はいよいよ『赤い月の香り』に手を伸ばそうと思う。




