
yayano
@yaya7
2025年2月18日

レキシントンの幽霊
村上春樹
読み終わった
再読
20年ぶりの再読。短編集。
村上春樹と吉本ばななは私の原点(あと手塚治虫とF先生)なのでたまに読み返すのだけど、この作品は初めて読んだ印象が薄く、評判の意味がよくわからなかった。しかしいま読むととても丁寧でおもしろい。なにより文章がうまくて、紙の上で踊るように読める。もっと浸りたいぞ。
庭の地中から現れる獣と、住人の女性が対峙する「緑色の獣」は、いまこそ読まれて欲しい。高校生の頃は「は?当然だろ何いってんの」と思っていたことが、社会にずぶずぶに浸かったいまなら「そうそうそうなんだよ春樹ー!」とがっつり握手を求めたくなる感じ。女性の残忍さが描かれる。
「氷男」の他者との計り知れない距離感、「トニー滝谷」の都市の暮らしでの、また大波の描写が圧巻である「七番目の男」の、それぞれの絶対的な孤独にも痺れる。また何年か後にも再読したい。
