レキシントンの幽霊

17件の記録
- monami@kiroku_library2025年6月10日読み終わった聴き終わった『トニー滝谷』を聴いている時、以前この本を借りて読んだ時の記憶が蘇った。 (わたしは読んだ本と、どこかの場所がよく記憶の中で結びつくのだ。) そのためか私の中では、なんの変哲もない図書館帰りの坂道が、作中の亡くなった妻のクローゼットと分かち難く結びついている。『ねじまき鳥クロニクル』でもこの感覚は少し過ぎったけれど、こちらの方が鮮明。 不思議な気持ちだった。 一人称が女性の話は門脇麦さんが、男性の話は滝藤賢一さんが朗読。リアリティがあって良い。 他に印象に残ったこと。 『緑色の獣』で表現される、歪んだ鏡を覗き込んだような女性の冷酷さ。どこか『騎士団長殺し』を連想させる『レキシントンの幽霊』。
- monami@kiroku_library2025年6月6日読み始めた聴き始めたAudibleで村上春樹を聴くのにすっかりハマってしまった。もはや中毒レベル。 こちらも再読。大学一年生の時に読んだはずだけど中身はあまりおぼえていない。でもこれはかなり好きな纏まり方だなと思った記憶がある。 中学生の時全集で読んだ作品も入っていたから、その時も初読感はあまりなかった。
- yayano@yaya72025年2月18日読み終わった再読20年ぶりの再読。短編集。 村上春樹と吉本ばななは私の原点(あと手塚治虫とF先生)なのでたまに読み返すのだけど、この作品は初めて読んだ印象が薄く、評判の意味がよくわからなかった。しかしいま読むととても丁寧でおもしろい。なにより文章がうまくて、紙の上で踊るように読める。もっと浸りたいぞ。 庭の地中から現れる獣と、住人の女性が対峙する「緑色の獣」は、いまこそ読まれて欲しい。高校生の頃は「は?当然だろ何いってんの」と思っていたことが、社会にずぶずぶに浸かったいまなら「そうそうそうなんだよ春樹ー!」とがっつり握手を求めたくなる感じ。女性の残忍さが描かれる。 「氷男」の他者との計り知れない距離感、「トニー滝谷」の都市の暮らしでの、また大波の描写が圧巻である「七番目の男」の、それぞれの絶対的な孤独にも痺れる。また何年か後にも再読したい。