レキシントンの幽霊
51件の記録
鷲津@Washizu_m2026年4月8日わたしの本棚「孤独」 本の書き込みより 『孤独ではないということは、彼にとっていささか奇妙な状況であった。孤独でなくなったことによって、もう一度孤独になったらどうしようという恐怖につきまとわれることになったからだ。』 〜トニー滝谷〜 『孤独とは、単に他者から疎外された状態をいうのではない。私たちは人のなかにあるときにいっそう、孤独を感じることがある。』 〜「悲しみの秘儀」若松英輔〜 大切な人との出会いがあってこそ、失いたくないが故の「孤独」を初めて学ぶことになる。それは悲しいことではなく、人生において必要な糧ではないのか 『でも僕が本当に怖いと思うのは、青木のような人間の言いぶんを無批判に受け入れて、そのまま信じてしまう連中です。自分では何も生み出さず、何も理解していないくせに、口当りの良い、受け入れやすい他人の意見に踊らされて集団で行動する連中です。』 〜沈黙〜 『彼らを最も苦しめたのは、ひょっとすると、一定のストーリーを持った音だったのかも知れない。「みんなひとつに」「がんばろうニッポン」「絆」といったスローガンや、煽るような歌や音楽が、大切な人の発する微かな声や音を津波のように掻き消してしまうのではないか、そんな恐怖に脅えていた人々がいたかも知れないし、今もいるかも知れない。』 〜「生きていくうえで、かけがえのないこと」吉村萬壱〜 大切な人の喪失、悲しみは耐え難いものがある。でもそれ以上に耐え難いのは、騒音にも似た綺麗事の合唱、外野の声だった。その声が悲しみの灯火をかき消し、孤独に苛まされることになるのが、能天気に声を発する人たちには分からないのだろうか 『氷には未来というものはないからです。そこにはただ過去がしっかりと封じ込められているだけです。すべてのものはまるで生きているみたいに鮮明にそこに封じこめられているんです。』 〜氷男〜 『これはもうみんな終わってしまったことなのだ、と彼は思った。もう何をしたところで、全ては終わってしまったのだ。』 『しかし年月がたつにつれて、彼はかつてそこにあったものを思い出すことができなくなっていった。その色や匂いの記憶もいつしか消えてしまった。そしてかつて抱いたあの鮮やかな感情さえもが、記憶の領域の外へとあとずさりするように退いていった。』 〜トニー滝谷〜 トニー滝谷は妻の服を処分すべきではなかった。自らの手で思い出の氷を溶かし、全てを終わりにしたことで、彼は永遠に孤独になった。この先、彼に救いはない 『祈ることと、願うことは違う。願うとは、自らが欲することを何者かに訴えることだが、祈るとは、むしろ、その何者かの声を聞くことのように思われる。』 『孤独は、悲嘆に始まる経験であると同時に、それは生きる力をもたらし、深みから私たちの人生を祝福するというのである。』 〜「悲しみの秘儀」若松英輔〜 孤独は祈ることで救済される 大切な人と自らの対話が、救いの第一歩となる
サカキ@sakaki08252026年4月8日映画を観た読み直したリバイバル上映を観たので、トニー滝谷を読み直し。 親子であること、夫婦になることを経て初めて孤独を恐怖するというところで、本当の意味での孤独というものを考えさせられる。 いい意味で多くを語らない作品なので、その余白を含めてとても好きな短編だと再認識。 「孤独ではないということは、彼にとっていささか奇妙な状態であった。孤独でなくなったことによって、もう一度孤独になったらどうしようという恐怖につきまとわれることになったからだ」



波@namireads2026年4月5日映画を観て@ 大阪城公園ひとりぼっちだったトニー滝谷は人と深く関わることができない。風のように洋服を纏う妻に出会ってはじめて失うことを、孤独になることを怖れる。 映画はわずかに希望を残すような終わり方でした。村上春樹さんの小説はいつも風が吹いてる
Yamamoto Masaki@masa04262026年3月21日読み終わった心に残る一節『トニー滝谷』P147 不自由しないくらいの数のコートとワンピースを持っているのだもの、と。でも交差点の一番前に停まって信号を待っているあいだ、彼女はずっとそのコートとワンピースのことを考えていた。それがどんな色をしてどんな恰好をしていたか、どんな手触りだったか、彼女ははっきりと記憶していた。今目の前にあるもののように、細部まで鮮明に思い浮かべることができた。額に汗が浮かんでくるのが感じられた。 ハンドルの上に両肘をついたまま、大きく息を吸い込んだ。そして目を閉じた。目を開けたとき、宿号が青に変わるのが見えた。彼女ははじかれたように思い切りアクセルを踏みこんだ。 そのとき、交差点を黄色の信号で無理に突っ切ろうとした大型トラックが彼女の運転するブルーのルノー・サンクの鼻先に横からフルスピードで突っ込んできた。 彼女には何かを感じる暇さえなかった。


アーモンド@pakupakubun2026年1月2日読んでる東京奇譚集を読み終えたので、ひっぱり出してきた。 本棚の奥ですっかり黄ばんでいて、そんなに昔の本だったかな。 何度か読んだはずなのに、こんな描写あったかな、と思うこと多々。あらすじは覚えていても、引っかかるところは毎回違う。そこが再読の良いところ。


monami@kiroku_library2025年6月10日読み終わった聴き終わった『トニー滝谷』を聴いている時、以前この本を借りて読んだ時の記憶が蘇った。 (わたしは読んだ本と、どこかの場所がよく記憶の中で結びつくのだ。) そのためか私の中では、なんの変哲もない図書館帰りの坂道が、作中の亡くなった妻のクローゼットと分かち難く結びついている。『ねじまき鳥クロニクル』でもこの感覚は少し過ぎったけれど、こちらの方が鮮明。 不思議な気持ちだった。 一人称が女性の話は門脇麦さんが、男性の話は滝藤賢一さんが朗読。リアリティがあって良い。 他に印象に残ったこと。 『緑色の獣』で表現される、歪んだ鏡を覗き込んだような女性の冷酷さ。どこか『騎士団長殺し』を連想させる『レキシントンの幽霊』。





monami@kiroku_library2025年6月6日読み始めた聴き始めたAudibleで村上春樹を聴くのにすっかりハマってしまった。もはや中毒レベル。 こちらも再読。大学一年生の時に読んだはずだけど中身はあまりおぼえていない。でもこれはかなり好きな纏まり方だなと思った記憶がある。 中学生の時全集で読んだ作品も入っていたから、その時も初読感はあまりなかった。







yayano@yaya72025年2月18日読み終わった再読20年ぶりの再読。短編集。 村上春樹と吉本ばななは私の原点(あと手塚治虫とF先生)なのでたまに読み返すのだけど、この作品は初めて読んだ印象が薄く、評判の意味がよくわからなかった。しかしいま読むととても丁寧でおもしろい。なにより文章がうまくて、紙の上で踊るように読める。もっと浸りたいぞ。 庭の地中から現れる獣と、住人の女性が対峙する「緑色の獣」は、いまこそ読まれて欲しい。高校生の頃は「は?当然だろ何いってんの」と思っていたことが、社会にずぶずぶに浸かったいまなら「そうそうそうなんだよ春樹ー!」とがっつり握手を求めたくなる感じ。女性の残忍さが描かれる。 「氷男」の他者との計り知れない距離感、「トニー滝谷」の都市の暮らしでの、また大波の描写が圧巻である「七番目の男」の、それぞれの絶対的な孤独にも痺れる。また何年か後にも再読したい。













































