
はぴ
@happy-reads
2026年5月18日
呪文の言語学
角悠介
読み終わった
ルーマニア、東欧の地方に今もなお残る素朴な伝統文化、ジプシー、そしてTVコマーシャルにも登場する魔女!見覚えがあると思ったら、ロマの文化研究『ロマニコード』の著者さんだった👀
🪄
でも今回はロマに絞ったものじゃなく、ルーマニアという土地における、「呪文」がテーマ!民俗学でいう「呪術」、そこで使われるコトバを言語学的に分析してみようって内容。おもしろー!!
🪄
「魔術」ってのは、考古学者のクリス・ゴスデンによると…
「私が用いる定義は魔術とは参画participationであるとするものである。
人間は直接的に宇宙に参画し、宇宙はわれわれに影響を与え、われわれを形作る。
私の魔術の定義は人間と宇宙の繋がりを強調する。
すなわち人間は宇宙の営みに対してオープンであり、宇宙はわれわれに応答する」
ここでいう「宇宙」は、世界全般、事象や現象すべてのこと。
「魔術」というのは、世界に働きかける、というよりは、世界の一部であること、全てが繋がっていることを意識するための儀式、なのかな。
私の宇宙ってのは、網の目に揺れるたくさんの水滴のうちの一粒に映り込む世界。たくさんの水滴が、お互いの景色を映しあう。(ちなみにこれは仏教の世界観)
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魔術といえば、魔女。
魔女の文化史的な部分も、とっても面白かった🧙♀️✨
宗教との兼ね合いとかね。
キリスト教による魔女裁判にも触れる。
そもそも、「魔女」という存在を作り上げたのは魔女たち自身じゃなく、外部の都合じゃないか。キリスト教に投影された男性の理想とされる女性像(聖母、聖女)に対比される、魔女。そこに見え隠れする、男性社会の女性に対する支配欲と軽視。
その昔、魔術が伝統文化として浸透していた時代、女性はみんな魔女だった。というか、魔女/非魔女という区別はなかった。魔術は生活に根差した技術や知識であって、得手・不得手はあれど、大なり小なりみんな魔術的行為には携わっていた。
「妄想を膨らませ彼女たちを神格化あるいは怪物扱いして騒ぎ立てるのは伝統文化を失った外の世界の人々だけ」である。
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本書の後半が、いよいよ呪文の言語学。
効果がどうとかやり方がどうとかじゃなく、あくまでもコトバの構造、働き、仕組みに注目する。
例えば、「呪文と普通のコトバはどう違うのか」?なんか効きそう、なんだか不気味、どこか不思議、そんな気持ちにさせる要素はなんなんだろう?
アブラカダブラ、痛いの痛いの飛んでいけ、エクスペクト・パトローナム・・・
意味のわかる言葉による呪文と意味不明な音の羅列の呪文の違い、リズムやパターン、それが人にどんな影響(言葉によって作用する印象)を与えるんだろうか?
決してオカルトじゃないんだけど、オカルトとか魔女文化が好きな人も楽しめる内容なんじゃないかな!?🤩私は呪文の「レトリック(言語技法)」を分析してるところが、すごく面白かったー!
般若心経をはじめとするお経は「物語」と「対話」構造➕意味がわからない音による神秘性、ってパターンだな!
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ちなみに、この本は言語学的ポイントに注目しているから、効果が云々なんてことは言ってないんだけど、どうして呪文が効く(少なくとも、そう感じる人が現在も多く存在している)んだろう?ってことにも触れてて。
プラセボ効果ももちろん、身体的・生理的な理由もありそうだな、って。特定の動作をするとか、特定の音を発声することによる効果。
先日読んだ中野信子さんの『咒の脳科学』で、
「認知科学的には美しい音の連なりやくり返しには人間の思考を止める力がある」
って書いてたの思い出したよ。
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ルーマニアの魔女たちにとって、呪文は身近で実践的なもの。書かれたものを読み上げるだけじゃ、意味はない。自分自身の言葉でないのなら、呪文の本質を捉えていない。それってまさに、職人的な技術。伝統芸能とか、武術もそうだもんね。本を読んで真似しただけの言葉は、違うのだ。
巻末にルーマニア出身のエリーザさんのインタビューがあって、呪文というか魔術への捉え方がとても素敵だった。
なりたい姿、実現したいこと、うまくいってほしいこと、「イメージすれば叶いやすい」ってのは、まぁよく聞く話。でも、おまじないはスイッチが入らないと全く意味がない。
「頭」でイメージするだけじゃ、ダメ。
「胸(心)」におろさないと。想いは頭じゃなくて、胸に。心に。魂に。おまじないだけじゃなく、日常生活の中でも、胸(心)を使うことが大事だ、って。
我々、頭止まりになりがちよね。
エリーザさんは「考えを胸におろして電波をだす」って表現してたけど、これは心臓コヒーレンスのことにも繋がるね!!
心臓を意識して心拍変動と脳(自律神経)が同期・安定すると、自分の心身だけじゃなく外界にも影響がある、って研究。心臓の生体電磁波は脳の5000倍強いから。
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章末、がっつり悪ふざけで締めてて、めっちゃ笑った。。。
大真面目に大ふざけしてるの、好きなんやな私。。。
言語学の知識を総動員して作り上げた、「まじょさん」ならぬ「マジおっさん」の最強の呪文。
※このあと読み始めた遠藤周作の『ぐうたら人間学』が早速同じ悩みをテーマにした話で2度笑った








