
ひかりとかげ
@hikakage
2026年5月19日
陰翳礼讃改版
谷崎潤一郎
読み終わった
この本を手に取った理由としては移民やオーバーツーリズムで失われているように感じる日本の文化や伝統について私なりに解釈したいと思ったからだ。
日本の伝統には「TRADITIONAL」と「traditional」があり、前者は端的に国学のやまとごころ的であり、後者はこの日本の自然に共存する知恵として語り継がれてる事は小倉ヒラクさんの本から学んだ。
しかしながら我々日本人にはどこか共通する美意識のようなものがあり、それを建築や漆器、旅や女性など様々な視点から構造的に解析したのがこの『陰翳礼賛』という一冊だと思う。
本書の中でも西洋人との比較が多く、というのも著者の谷崎自身は文明開花して間もない明治十九年生まれの東京育ち。西洋のソーサーや金属のカトラリーなど浅く冴えたものが入ってくる中で「漆器のような漆黒の闇の中で小さな灯りを灯すと沈んだ翳りと共に表れるもの」こそ日本人の美的感覚なのだと相対的に感じれたのだろう。
SNSの時代になって、様々な国内外の人間が日本のあちらこちらに行き写真を撮りSNSの投稿をする時代になった。日本から翳りはほぼ失われてそれはまるで日光からの紫外線のように文化を劣化させている感覚がある。
最近は伝統的な社寺仏閣が連続して火災にあっている。
ネットでは外国や政府、警察など誰かに責任を負わせようとしているが、これはどこか我々に向けられた問いのように感じている。
もちろん日本の文化の形が故意に失われるのはあるまじき事であるが、形あるものはいづれ失われてしまう定めである。
故に我々が例え失っても、形が変わったとしても。
後世に「日本に産まれてよかった」と思える心や風景、文化を残して語り継ぐ事を考えたいと思うのだ。