sea
@sea06297
2026年5月19日
すべての、白いものたちの
ハン・ガン,
斎藤真理子
読み終わった
ハン・ガンは初読。
読んでいる間は夢とうつつの狭間を泳ぐような感覚で、ぼんやりした白さを手繰り寄せるように、気付けば夢中になって文章を追いかけていた。韓国語は形容詞が豊かに発達している言語だといつか聞いたことがあって、それを思い出すような柔らかいきれいな文章だった。
出会わなかった親密な他人に生かされ、生かすこと。うまく言えないけれど、同時には存在し得ない彼女らが時間の不可逆性を超えて、体と精神を通じて語り合っている光景を見ていた。
自分の体と心を受け渡して再び束の間の生を姉に贈る作業は病的な体験でもあるな〜と思ったけど、隣人への無関心が加速している世の中では改めて必要な考え方なのかも。「私」にとってそれは姉と母への愛と贖罪であり、同時に自分の人生を生きるために必要なイニシエーションだったように感じた。現実には感じることができない繋がりを信じることは難しくて、心を砕くのはもっと難しい(私にとっては)。でも叶うならそんな風に生きようとする自分でありたいとも思った。
ー白く笑う、という表現は(おそらく)彼女の母国語だけにあるものだ。途方に暮れたように、寂しげに、こわれやすい清らかさをたたえて笑む顔。またはそのような笑み。
