イネイネ "おとぎのかけら 新釈西洋童話..." 2026年5月20日

イネイネ
イネイネ
@ah-ineine3
2026年5月20日
おとぎのかけら 新釈西洋童話集
現代日本を舞台にダークなおとぎ話を描いた作品集。いじめ、不倫、児童虐待、性風俗など社会の闇が切り取られているが、地の文がとにかく艶かしく描写されている。 白雪姫をモチーフにした『カドミウム・レッド』において、叔父が主人公に果物を食べさせる場面で、魅力的に見える顎の角度を意識しながら掌の温度で生温くなった果肉を舌で潰し、果汁を飲み下す様がまるで官能小説のようにエロティックに描かれているので、自宅以外で読むとドキドキしてしまう程である。 また、この作品で7人の男たちを誑かす悪女として描かれている主人公だが、叔父の妻である『美智子先生』に対する感情は嘲りだけではなく、もっといびつなものを感じた。男は自らを飾り立てるためのアクセサリーに過ぎず、自らを刺し殺そうとする女性の殺意に歪む表情を「美しい」と表現した彼女が真に求めるものこそ美智子先生本人だったのではないだろうかと、私はそう解釈した。 美術にはあかるくないので、絵に取り憑かれた主人公が醜い物こそ美しいと感じたというのが本当のところなのかもしれない。しかし作者が「これはこういう意図で書いてます」と逐一解説してくれるわけではないので これは究極の百合作品であると受け取るしか私にはできなかったのが少し悔しい。女が女に向ける愛憎とはそんなに単純なものなのだろうか…文庫化されているようなので買い直し改めて考察を深めてみたいところだ。
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