
yomitaos
@chsy7188
2026年5月20日
ざんどぅまの影(5)
澤村伊智
読み終わった
@ 自宅
かなり社会批判の色合いが強く、これまでの比嘉シリーズのなかでも本書は随一。読者がホラーを読むときは傍観者の立場で安心しきっている(自分が襲われることはない)ことが多いと思うが、しっかりハシゴを外される。もっと言えば糾弾される。思わず目を逸らしてしまう。
ホラーブームで雨後の筍のように作品が湧き出てくるなか、作品側から現実を侵食してくるような体験ができるのは、澤村伊智か小野不由美の物語を読んだときだけだと思う。
びしょびしょのお化けが人を襲うという、いかにもなホラーなテイストで物語は始まる。つい人外のバケモノを想像してしまうが、バケモノを「自分とは違う見た目の生物」と捉えるなら、外国人だって簡単にその枠に入れてしまえる。関西人や道民というくくりでだって枠に入れられる。
人間は共通の敵をでっちあげることで、簡単に結束してしまえる。それはトランプに代表されるレイシストの振る舞いを見ていればよくわかる。もっとも、本作を読んで思い浮かべるのは自民党や賛政党などの排外主義政党だろう。この本を読んで登場人物の高揚に心振るわせた人は、もれなく後悔することになる。
澤村伊智作品は、人の心に巣食うどうしようもない愚かな部分を抉ってくれるからたまらない。


