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2026年5月21日
彼女のカロート
荻世いをら
この本に収録されている二作は、「彼女のカロート」では自分の声以外は聞こえなくなってしまったアナウンサー、「宦官の授業」では透析患者で視力を殆ど失っている老人と、今の社会のなかではそのシステムとの間に障害がある、とされている人たちとのコミニケーションが中心に、あるいは重要な位置にある物語でもあって。
自分が社会の側、そのなかから彼らを見つめるとき、その「障害」はかれらの側にある、とみてしまうけれど、社会というある意味での安全圏から出てかれらと一対一で向き合ったとき、そのコミニケーションを妨げる障害はどちらの側でもなくその間に現れる。そこにあるままならなさ、寄る辺なさを思うとき「ケア」という当たり前とされているシステムを見つめ直し改めてそれぞれの間でチューニングしようとする概念が浮かび上がってくる。だからこれはケアに関する物語でもある、あるいはケアに至る話だ、少なくともそこに至ろうとする話だ……と少しづつトーンダウンしてしまうけれど、そんなことも考えているのだった。






