たにこ "渇愛" 2026年5月21日

たにこ
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@chico75_11427
2026年5月21日
渇愛
渇愛
宇都宮直子
著者が被害者の方に会うまで、ずっとりりちゃん側目線でいたが、被害者の方が困窮している姿を見て自省している心境を見て、私も同じだったな…と思ってしまった。 りりちゃんがしたことは利害の一致のP活とちがって、相手を騙してお金をもらっている。ただの詐欺行為のはずなのに、なぜこんなにりりちゃん擁護が多かったのか? また、「ごくちゅうにっき」を挙げてる人もりりちゃん側の人間なのか…と少し引いて見ていたが、りりちゃんが罪の意識を理解してほしい、被害者の方にちゃんと賠償できるように、という慈善団体だったのをこの本で知って、表面上しか見ていなかった自分が恥ずかしくなった。 マニュアルには情報商材好きな「初めての担当」からアドバイスされ、業者の手助けもあった。その担当は、ナンパ界隈(「中星マインド」としてマニュアル化した中星一番(根本良輔氏)に憧れていたが接近できず、「貢がせ界隈」と関わりを持った。その中の1人がりりちゃんに、マニュアル化をするよう勧めてきた。 →知り合いに中星マインドの人がいたので、貢ぎ行為が身近なものになっているのが恐ろしく感じた。 歌舞伎町にいる限り、渡邊被告は「りりちゃん」から降りれなくなった。ホストから、ファンの子から、期待されて、プレッシャーを感じていただろうけどもっともっと、と求められて。 ホス狂いあおいさんはリア友が親身になってくれたから、本来の自分と「ホス狂いあおい」を分けることができたが、りりちゃんの周りはファンや甘い蜜を吸いたい人たちだけで、対等な友達はいなかった。本人も利用されていることはわかっていたはず。 りりちゃんは無意識のうちに、目の前の相手に「見せたい自分」「相手が望むりりちゃん像」を見せるために言動をコロコロ変えていた。 →母親も似たようなコミュニケーションをとる。「女の子」が抜け切れないような幼さが残り、「母親」の役割を担うのは多分難しい。渡邊被告にとって母親は「女の子=救う対象」だが、同時に「母親としての愛情をもらえない人」にもなる。複雑な親子関係。 一緒に逮捕されたホストの方も、真面目で営業ではなく素でりりちゃんと向き合っていた人だと思う。ホストにとっては弱肉強食な世界で、生き延びようと努力していた人な印象。悪いことは悪いけど、理解した上で覚悟を決めてしていたのかもしれないが…現在はそれをネタに配信しているのも事実。 りりちゃんはずっと人に好かれるコミュニケーションの取り方しか分からず、被害者意識がずっと抜け出せていない。自分の味方になってくれる人にゾッコンになるので、少しでも自分の考えからズレると敵認定されてしまう。かわいそうな女の子。という印象でした。
たにこ
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@chico75_11427
彼女たちがいかに悩み、日常に不満を抱えていても、周囲からは「大変かもしれないけれど、あなただけじゃない」といなされる。 しかし歌舞伎町に入り、大金を作ってホストのために使えば「すごい!」「よくできる」「頑張ってる」と特別な存在になれるのだ。彼女たちは「歌舞伎町の外では普通の女のコ」になってしまう自分を「ホス狂い」にすることで、それまでの自分を“ロンダリング"しているように見えた。(P47) 渡邊被告は「歌舞伎町の友達」から差し入れてもらった船戸受刑者(目黒区児童虐待死事件の犯人・船戸優里受刑者)の著書『結愛へ』を読んだという。だがその感想は、この事件がいかに凄惨なものであったか、また事件の背景に彼女がDVを受けた、といったことではなく、ただ「親が面会にきて、証言台に立ったこと」が胸に響いたというのだ。(P76) 「(略)お母さんは、私のことや事件について、なんで考えてくれないんでしょう?」そして、一瞬、黙り込んでからもう一度、言うのだ。 「なぜ、私のお母さんは、証言台に立ってくれなかったのでしょうか」彼女はひどく傷ついたような表情をして、うつむいた。(P77) 「ここに集まったコは、皆"頂き”をするコで、それぞれホストにハマったりと"傷”があった。りりちゃんにハマったコは皆、りりちゃんに”傷”を感じたのだと思います。私もちょうど、人生のすべてがうまくいかなかった頃で、そこで出会ったりりちゃんとマニュアルに『ここには正解がある』と感じた。 りりちゃんは、誰かの神”になってくれる人だった。でも、ヲタ同士が連帯することは危うく、難しかった。逮捕されて、『頂き女子』が犯罪だと世間に知られるようになってしまってからは、りりヲタの連帯は崩れてしまったんです」(p96)
たにこ
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@chico75_11427
取材を進めていくうちに、いつしか私の中に、渡邊被告に対して「取材対象を分析し、より知ろう」ということだけではない、また別の気持ちが湧いてきた。それは同情心なのか、行き過ぎた親近感なのかー。(P98) 「お金を稼いで、使うことがこの街では正義」「なぜなら自分には”それだけの価値”があるからだ」という理屈だ。それは明解であり、また、自分の肉体や魅力だけを資本に億を稼いでそのほとんどをばっさり使う彼女たちには、一種の爽快感さえ覚えていた。(P106) 「今、私が思うことは、『りりちゃんを使ってしまったのは、私たちだ』ということ。こうなったのは周りにも責任がある」(P157、ホス狂いあおいさんへのインタビューより) 彼女が心底ショックを受けたこと、また「詐欺」が犯罪行為であること自体は理解していても、被害者個人が受けた苦しみについてはまだ全く理解しておらず、彼女の中で全く整理できていないことが伝わってきた。(P199) 当時、まだ幼かった彼女は、男性の行為にどれほど傷ついたことだろう。しかし反面、「若い女性」である自身の身体に、どれだけの価値と優位性があるかということも体感したのだろう。こういった経験が「性を搾取する男性に対する無自覚な処罰心」に繋がったのであろことは、想像に難くない。 「(自分のした)詐欺のことは悪いと思う。でも、私を買ったことも風俗のことも、それは許れることなのでしょうか、とも……」(P201)
たにこ
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@chico75_11427
自分を気遣ってくれる女性看守を「ママ」と呼んで甘え、ファンが差し入れた本を読み、自身を称賛する手紙を読み返す。そこには、あくまでも、自分と、自分の崇拝者しかいない。 彼女は、無意識のうちに「りりちゃん」という華やかな牢獄を作り、そこに留まることを望んだのかもしれない。(P225〜226) 「男性が流されてとか、女性が騙されるとか、そういう話ではなく、困難を抱えている人を巧妙に狙う手口を『ギバーおじ』と言い換えて罪悪感を減らすっていう、極めて悪質なものだと思います。老若男女に該当する、あのマニュアルはそういうものだと思っています。だからこそ悪だと私は考えます」(P229、小林勇貴監督のインタビューより) 「『ひとりは嫌だ』『かまってほしい』と言う気持ちが、多分ずっと心の底にあって、言動の動機になっているんじゃないでしょうか。だけど、それだけであれば、こんなに大きな事件に発展する事はなかったと思う。彼女の抱える寂しさや満ち足りなさに、社会に対する絶望や復讐心が加わってしまったことで、事件が起きた。(中略)世の中において正しいものであるはずの存在が自分に何もしてくれないし、それどころか、奪おうとする。だから"仕返し"をする事は、彼女の中では多分、正当な行為だと感じていたのだと思う。(中略)社会から虐げられたと感じている人たちの象徴になって神格化されました。本人も、その周囲のイメージから作られた人格によって、より自分の方向性を強固にして、飲まれていった部分があるのかなと思いますね」(P243〜245、草下シンヤ氏インタビューより) いつしか彼女が、自身で作り出した「キラキラの牢獄」から抜け出し、社会へ戻るまでを見届けようと思う。その時をただ、待っていようと思うのだ。(P254)
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