まろ "名もなき毒" 2026年2月14日

まろ
@maro_books
2026年2月14日
名もなき毒
名もなき毒
宮部みゆき
吉川英治文学賞(07年)受賞作。シリーズものとは知らず、本作が2作目だということに解説を読んで気づく。 主人公のもとで働いていたトラブルメーカー・原田いずみを発端として起こる出来事と連続毒殺事件の2つが同時進行していく中、主人公が事件の真相に(半ば強引に)近づいていくというストーリー。ミステリーの側面よりも、柚木麻子さんの『BUTTER』や姫野カオルコさんの『彼女は頭が悪いから』のような社会派小説の側面が強い。 本書の中には様々な毒が出てくる。原田いずみの心の毒、連続殺人事件の凶器としての毒、土壌から検出される成分としての毒。 人間は誰しも毒を持っている。そして、悲しいことにその毒に蝕まれ、自分が毒されていることに気づかず、コントロールできなくなる人がいることも事実。しかも、見た目からはその毒をかぎ分けることもできないし、その人の前では我々は無力であり、対抗する術がない。 そんな中でも、宮部氏は希望を見い出そうとする。 この小説が、そんな社会への静かなる反撃の狼煙となればよいと思う。
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved