なち
@nanananachi77
2026年5月21日
ウエハースの椅子
江國香織
読み終わった
ウエハースの甘くて、噛んでしまうとさくっとほろっとすぐに溶けてしまう。
それが椅子になってしまったら、重さになって耐えられるはずもなかった。いくら甘くても。
甘い時間を過ごしている。だけどその時間にどんと腰掛けられるような、悶えかかれるような人間じゃない。
そして寄りかかってしまう前に、そのウエハースが壊れてしまわぬように。
壊れてしまって落胆という絶望を知る前に。
手放してしまおう。それは私の決断だから。裏切られての絶望じゃない。
絶望の顔が覗き込んでくる。だけど飲み込まれないように手放すの。
そういう物語なのかなと私は思った。
甘すぎる肯定は安心というより、ある意味自分がないような気もしてくる。
それこそが自分の不安定さに忍び寄ってきてしまったのかなと。
それがなんだか切ないというより、ただ水に浮かんで空を仰ぎみてる時のような。そんな感覚になれる一冊でした。
