チョム "予告された殺人の記録" 2026年5月22日

チョム
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@abb_20260521
2026年5月22日
予告された殺人の記録
予告された殺人の記録
ガブリエル・ガルシア=マルケス
大学生のとき、講義のグループワークでわたしたちではない他のグループが担当した作品で、わたしたちのグループがなんの作品を担当したのか、その他のグループはどうだったか、そもそもグループワークでなにをどうしたのかを覚えていないのに、この作品の存在だけはずっと忘れられず本棚に在り続けている。本棚に並ぶほかの本と比べて明らかに薄い背表紙、『予告された殺人の記録』という恐ろしい単語を並べたタイトル。「殺人」のようすを「記録」するだけでも背筋がぞっとするのに、それが「予告された」ものだったとは、いかに。 予告されていたのなら、なぜ防げなかったのか。事件の数十年後に語り手が当時の人々から証言を集めて書かれた記録という体をなす本文からは、さまざまな人物の混濁した記憶と想像、淡々と綴られる事実、殺された者と殺した者の双方を救えなかったということが窺えながらも、「なぜ防げなかったのか」この最大の謎については結局明らかにならない。 全5章で構成された本文は、第4章を除きいずれもサンティアゴ・ナサールが殺されることを示唆する、あるいは殺されたことが判明することばで終わる(第4章は殺されたサンティアゴの死体の検死解剖から始まる)。 『百年の孤独』でも鮮やかな文体で「ありえない出来事や現象がさも自然なことのように描写される(=マジックリアリズム)」が、本書においてもそのような描写がなんの疑問もなく溶け込んだ文章となっており、物語全体を幻想的な空気が覆っているように感じる。 再読の感想 殺されたサンティアゴのみ語り部とならず人々の回想に登場するため、彼の言動が終始ふわふわしている印象を受けた。自身が殺される理由に思い当たることがなかったらしいサンティアゴがかわいそうなくらい狼狽えながら追っ手の前に姿を現し、殺されたあとになって堂々とした歩みを見せたことに対するある種の「おれはやってない」的な矜恃に畏怖を覚えたものの、それが事実なのであれば殺されたことはほんとうにかわいそうだと思うし、この事件の唯一の被害者とされるバヤルドの花嫁への仕打ちがこの事件の発端であると考えるのでそちらへの憐憫の情は今回も特に湧かなかった。 メモ ㆍ絵画の表紙 仮面に紛れた生身 ㆍ多くの他者の記憶をあつめて探る真相 ㆍマジックリアリズムの先駆者 ㆍすきな文 日光にあたったきれいなあおい腸 じぶんの腸を手で支えながらふらふらあるく 腸に泥がついたので手でゆすって落とす
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