
時雨崎
@rainstormbook99
2026年5月22日
華氏451度〔新訳版〕
レイ・ブラッドベリ,
伊藤典夫,
小野田和子
読み終わった
華氏451度。紙の燃える温度。
昔に旧訳を読んだはずなのに記憶が8割がた消えてしまった。新訳で再読。
焚書管を昇火士に変更したのは名訳!原語のFiremanに込められた意味がよく伝わる。
これを電子で買っちゃうのは違うかなと紙で購入で正解だった。
「テレビは"現実"だ。即時性があり、ひろがりもある。あれを考えろ、これを考えろと指図して、がなりたてる。それは正しいにちがいない、と思ってしまう。」
やっぱ面白いなこの話。メディアがエンタメ重視のドーパミンをいかに掻き立てるかに比重が重くなるたびに"今こそ読んでほしい一冊"にあげ続けられるのかもしれない。
耳にワイヤレスのイヤホンを突っ込み、ショート動画とSNSのタイムラインを延々とスクロールし、AIの中身のない"もっともそれっぽい"言葉の羅列で肯定と共感を簡単に得られ、より刺激的なことをして"いいね"を際限なく稼ごうとする現代だから。
刺激に対する反応という消費をし続けているだけ、人間なんてそれで満足するんだから本を無駄だとしながら様々な本の一節を暗唱するベイティーの態度は世界に対する諦念なのか、あるいは本をよく知った上でその力を忌み嫌っているのか…
本を読む側のことも窘めている。
「気安く詩を引用するなんざ愚の骨頂。通を気取った大ばか者のやることだ」
「安受け売りの文学かぶれめ、引き金を引いてみろ」
「ずっと昔、本を手に持っていた時代でさえ、われわれは本から得たものをまともに利用してはいなかった」
「われわれは本のほこりよけのカバーにすぎない、それ以上の意味はないのだからな」
「チ。」のメッセージ性と似たところもあるな。良い再読だった




