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時雨崎
時雨崎
時雨崎
@rainstormbook99
SFとミステリを中心に色々読みます。
  • 2025年8月14日
    動物には何が見え,聞こえ、感じられるのか 人間には感知できない驚異の環世界
    人間が知覚している世界なんて、あらゆる生物のあらゆる能力からしてみたら単なる1パターンに過ぎないということを教えてくれる。 分厚〜〜〜〜いので興味の持てそうな章から読んでも良さそう。序盤の章には結構ページを割いているので順番に読もうとすると圧倒されちゃう。 反響定位の話と、磁場の話がすごく面白かった。渡り鳥やウミガメは生まれながらに何故行くべき方向を知っているのか…ちゃんと実験もしている。 正直難しい内容も多いけどあらゆる生物学者たちの飽くなき探究心は読んでてワクワクを分けてもらえる
  • 2025年8月13日
    宇宙戦争【新訳決定版】
    宇宙戦争【新訳決定版】
    新装版 紫の上質なカバーに銀色の箔押し!かっこいい! SFのド古典。火星人は頭がデカくて触手がいっぱいあって高度な兵器で地球を侵略する。 現代からすればへえ〜宇宙人のルーツだな…ぐらいの感想だけど、当時からしてみれば作中で登場する様々な兵器はまだ現実にはなかったのにその後に戦争で使われるようなものばかりだったらしいから驚き。 やっぱSF作家は技術に夢見ていかなくっちゃ
  • 2025年8月4日
    すばらしい新世界
    すばらしい新世界
    子供は体外受精により瓶の中で"製造"され、階級別に、その階級で幸せを感じるように幼い頃から刷り込み学習をさせ、快も不快もこの社会構造で規程されたものを植え付けられる。 性行為は特別な相手と子供を作る行為ではなくなり、皆が誰とでもやる娯楽となる。母親という言葉は卑猥なものと扱われる。余暇ができたら政府支給のドラッグで気晴らしをする。老いることはなく、ただ60歳になったら急に死ぬだけ。 全部、社会が与えてくれるもので全ての人が満たされている。最下層の労働者でさえ、底辺の仕事をやることを幸福に感じている。そう刷り込まれたから。 これはユートピアか?ディストピアか? 読んでてずっと気持ち悪かったので一周回って面白かったけど、こんなに読んでて疲れる小説は久しぶりだった…すごい…ずっと気持ち悪い… よく1984年と比較されるそう。どっちも嫌だなあ。 貴志祐介の「新世界より」もそうだけど、管理社会を目指すと出産はコントロールされ最底辺の仕事を行う容貌醜い存在を作り出すという嫌な合理性に辿り着いてしまう。
  • 2025年7月31日
    麦酒の家の冒険
    "こんなビールは飲んだことがない。まるでプラズマエネルギーが食道から胃に落ちてゆくような感じ(中略)ほとんど激痛一歩手前の過剰な快楽が、脳天から爪先を駈け抜けたのであった。" 旅行に行った大学生が迷い込んだ山荘にはヱビスのロング缶と凍ったジョッキでいっぱいの冷蔵庫がポツンと置いてあるだけの不思議な家であった―― どう考えてもトンチキで馬鹿ミスかと思う。が、これは本格ミステリ。 なぜ、このような山荘があるのかちゃんと解き明かされる、凝ったミステリだった。 見た目は結構分厚い部類に入るはずだけどものすごくサクサク進む。登場人物が酔っ払いながらずっとこの山荘の謎をくっちゃべっているだけなので。 ビールを片手に読むぐらいがちょうど良い。ビール愛が溢れている。
  • 2025年7月26日
    詐欺師入門
    詐欺師入門
    あっっ…これ……地面師たちでも見たやつだ… 真剣に読んでしまった。 原著の初版は1940年頃、その頃のアメリカの詐欺の手口を紹介。映画「スティング」の元ネタ本。 内容は古いが、騙す方も、騙される方も、その構造と人間の性は変わらない。 儲けてやろうとか、だしぬいてやろうとか、他人より上になりたいとか、そういう人一倍虚栄心が強く「ズル」をしたい人ほど詐欺師の手のひらの上で転がされる。 "ほとんどのカモは上流社会の出身である。(中略)自らも出世を狙っている友人や仕事仲間やおべっか使いのおかげで、自分は優れいているのだと幻想を持ち続けているのだ。" そういう褒められた精神ではない部分を上手く挑発してやる。いざって時にカモが親類や友人に相談して冷静になってしまうこともないし、警察に駆け込むのも躊躇うから。 正直に、真っ当に稼ぐのが一番なんだな…と至極あたりまえのことがよくわかる…
  • 2025年7月22日
    学習する組織
    学習する組織
    めちゃくちゃ難しいけどビールゲームのくだりぐらいだけでも全ての社会人に読んでほしいなと。 自分の責任範囲にしか視野がないことがどれだけ危ういことか。 むしろそれ以外は完全に理解しきれない。事例がたくさんだけど知らん業界だと全然分からん。 kindleで長い間ずっと積読してたけど消化!消化になってる?半分も理解していない気がする
  • 2025年7月16日
    エーコ『薔薇の名前』
    過ぎにし薔薇はただ名前のみ、虚しきその名が今は残れり これが…唯名論と実在論を表しているなんて解説されないと分からない。ていうか解説されても難しい。 主人公は唯名論支持者、「オッカムの剃刀」で有名なオッカムがモデルというのも解説されて初めて理解した。アベラール曰く「薔薇は存在しない」。めちゃくちゃ普遍論争の知識が必要だった。 「チ。」の時代・文化背景が知りたい→「薔薇の名前」が良いらしい→宗教的なことが分からない、解説が欲しくて本屋に行く。 そんなこんなで良書に出会えた。 内容は3部構成で中世という時代背景や舞台から読み解く物語、宗教から読み解く物語、そして書物、知識、異端という物語上で鍵となるものが如何なる文脈で捉えられるものであるのか丁寧に解説。親切だけど難しい。根気が要る。 中世とは?信仰と理性とは?普遍論争とは?修道院において重んじられるべき知とは?書物はどのように扱われた?異端審問とは? 解説が!丁寧!情報量が多い!
  • 2025年7月5日
    金閣寺
    金閣寺
    現代の「無敵の人」を彷彿とさせるが、無敵の人にすらなりきれない小心者。どこまでも滑稽。 吃音ゆえに卑屈で自意識過剰で捻じ曲がった自己愛と破滅願望で独りよがりの傍迷惑な振る舞いをする男が、幼い頃より金閣寺に歪な美の憧憬と理想を抱き、初見で公式(実物)と解釈違いを起こすわ何かにつけて金閣寺金閣寺と執着し人生の大体の不都合は金閣寺が己を狂わせているからであると自己完結する。そして金閣寺を燃やす。 老師が自分のことをどう思ってるのか、叱りつけにくるのか、あの振る舞いは敢えて自分に対してやっているのか、などと自意識過剰ぶりを暴走させる描写が生々しくて嫌な共感を呼ぶのがかなり最悪で卑屈人間の思考パターンの理解が深い。最悪! 老師は面倒だなぐらいしか思ってなさそう。君が期待するほど世間は君のことなんて気にかけないし構いもしないよ。 頻繁に分からん単語を引く羽目になっているがちょっと古い表現ってかっこいいよね。厨二病から逃れられない。 日本語って…美しいよね…!わかる。 "その人生には自然さも欠けていれば、金閣のような構造の美しさも欠けており、いわば痛ましい痙攣の一種に他ならなかった。" "そのとき金閣が現れたのである。威厳にみちた、憂鬱な繊細な建築。禿げた金箔をそこかしこに残した豪奢な亡骸のような建築。近いと思えば遠く、親しくもあり隔たってもいる不可解な距離に、いつも澄明に浮かんでいるあの金閣が現れたのである。" こんな文章を学生の頃に浴びたら100%影響される。間違いない。こういうかっこつけを絶対真似してしまう。
  • 2025年7月4日
    密室殺人ゲーム王手飛車取り
    この、清々しくて潔い不謹慎さ。究極の殺人エンタメ。 密室、アリバイ、殺人にトリックやらに面白さを見出す我々ミステリファンはもとより不謹慎なんだけど。なお将棋は全く出てこない。 倫理の観念やら常識を捨てて、頭を柔らかくしていこう!前半は結構丁寧なヒントなので真剣に考えれば分かったりする。 生首花瓶のトリックが閃いた時は脳汁どばどば。 後半は ウワアア!って度肝抜かれっぱなし。そういえば「葉桜」の著者だから…そうか…!あ〜〜騙された〜〜〜
  • 2025年7月2日
    アヒルと鴨のコインロッカー
    ミステリーだけど殺人やトリックが主役じゃない方の青春ミステリー。 日本人とブータン人の違いなんてアヒルと鴨の違いみたいなもので、そのアヒルと鴨の違いを辞典で引いてみたところでいまいちな情報しか出てこない。 そんなちょっとした雑談がサラリと物語の中心に置かれる。え?じゃあコインロッカーって?が気になって読み進めるうちに物語が繋がってクライマックスへ向かっていく。 はっきりと書かない、すれ違うように出会って別れる不思議な爽やかさが良い。
  • 2025年6月28日
    夏への扉〔新版〕
    夏への扉〔新版〕
    時間や場所を超えて駆けずり回る主人公は、さながら物語冒頭に語られるように「夏への扉」を探して期待を込めて希望を捨てずに幾つもの扉を開いてるよう。 なるほど「夏への扉」というタイトルは上手い。おしゃれ。 物語中盤でネコちゃん…と思ったので最後の回収にはニッコリ。伏線は結構わかりやすいかな?前半の車が無くなる描写とか結構念入りに張ってるから展開はこうかな?と楽しく予想しながら一気に読めた
  • 2025年6月20日
    新世界より(下)
    あの集団は我々より下。 って、階級をつけて断絶を作らずにはいられない人間という生き物への皮肉だなあ。 「人間」への攻撃性は徹底的に排除されるシステムだけどバケネズミにはどれだけ残虐になってもいい。普段は汚物かのように触れないようにして、何かあれば平気で殺す。 別に善良で思いやりのある人間であれというわけではないというのがめちゃくちゃ気持ち悪い… という違和感をしっかり回収。うっすら疑わしいとは思ってたけど…そこまでする!?早季の職業が伏線として張られていたのが見事。 超作り込んだ世界観をしっかりストーリー上の大トリックに噛み合わせて来る、満足度が非常に高いSFだった…
  • 2025年6月16日
    新世界より(中)
    理想郷の皮がべりべり剥がれていく中巻。 社会のシステムがグロいし、そのシステムにごく自然に組み込まれていることにうっすらした疑問しか持てない一人称語り手とそのグロさが読者にしか分からない構造、きつい。 思春期の危うい少年少女の繊細な情緒も良い。 あっ…普通に死ぬんだ? そしてその記憶すら消されるんだ…切ねえ…
  • 2025年6月14日
    新世界より(上)
    管理社会だ!やったー管理社会系ディストピア大好き! 近未来の日本、人間が超能力を操れる世界観での少年少女が主人公。 貴志祐介はホラーというかエグいというかそういうイメージあるのにやたら平和な学生生活の描写が続くな〜…?あれ?んん?おお……期待を裏切らない…… 上中下でなかなか長いが上の中盤越えれば続きが気になってサクサク進む。アニメ化もしていることだしネタバレを踏む前に読み切るぞ
  • 2025年6月12日
    文庫版 書楼弔堂 破暁
    「書物と申しますものは、それを記した人の生み出したまやかしの現世、現世の屍なのでございますよ」 タイトルが良い。前から気になってた。 京極先生の本を読むと、本っていくらでも読んでいいんだなあと元気をもらえる。手元におき、開き、字を追い、考える。そのことの価値を信じられる。 現実の偉人が次々出てくる。巷説の人も出て来る。百鬼夜行の人も出てくる。全部繋がってる。 京極著作は読めば読むほど面白くなる。
  • 2025年5月27日
    ますます眠れなくなる宇宙のはなし
    系外惑星に知的生命体は存在するのか? 「幼年期の終わり」のような物語を生み出す土壌となったであろう時代の宇宙科学とその発展が分かる。 「星を継ぐもの」シリーズ、「プロジェクトヘイルメアリー」「三体」etc…様々なSF小説で想像される地球外生命体の可能性、彼らへメッセージを発信し、受信することはできるのか?生命とはそもそも宇宙でどのように発生した?といった現実の研究の歩みを知ることで自分の読書体験に深みが感じられる 相変わらず文系でも読みやすくて助かる。 三体で出てきた恒星タウの話もちょっとあって嬉しい。
  • 2025年5月22日
    ある閉ざされた雪の山荘で
    紛うことなき表紙詐欺、そしてタイトル詐欺。 そんなちょっと捻った仕掛けは最初の方で明かされるからな〜んだ、と思いきやそこから展開される話の構造にはもう一段二段の底がある。 さくっとまとめ上げるのは東野圭吾らしい卒の無さがある。 推理小説のクオリティとは関係ないけど仮面荘に続いて一人称語りする主人公の性格がいまいち好きになれない人格なのはなんなのか…
  • 2025年5月19日
    「好き」を言語化する技術
    "自分と推しとの関係に他人の感情を入り込ませる必要、なくないですか?" (本文抜粋) 面白い!好き!と思ったのにSNSを開いて否定的な意見見たらそうでも無い気がしてきただとか、他人の言語化で満足して自分が本当に感じたことが流れて消えて行ってしまったりだとか… 残念ながら人間の思考というのは非常にあやふや。簡単に影響される。 だからこそ自分の感じたことを自分自身で言語化して書き出してみれば、自分の「好き」をもっと大事にできる。 "一度「好き」を言葉にして残しておけば、その感情は自分の中に残り続けます" これはいつも自分が面白い本を読み終わった時に感じていること。何も残さずその感動が風化していくには勿体なさすぎる本がこの世には多すぎる。 さくっと読める手軽な新書で、内容は簡単だけど大変共感できる本でした。
  • 2025年5月18日
    英国の幽霊城ミステリー
    英国の幽霊城ミステリー
    やっぱヘンリー8世ってクズだわ。 そこが面白いんですけどね。 イギリス各地にある城に出る幽霊について、中世の古城から今も王族が住むバッキンガムまで、満遍なく解説。確かに怪奇現象的なことはあるようだけど大体は害がなくただ現れるだけ、英国人も怖いとかは無い模様。なんといっても国王が住むバッキンガムにまで出るから… もともとは雑誌 建築知識に連載されていたコラムらしく、全部間取り図がある。本文ページでもフルカラーイラストが多くて大満足。
  • 2025年5月10日
    ガニメデの優しい巨人【新版】
    ガニメデの優しい巨人【新版】
    「星を継ぐもの」 の続編。残った謎であるガニメアンなる存在のこと、そして彼らがなぜ「ルナリアン」の始祖を含めた地球の生物をミネルヴァに運んだのか、ミネルヴァ原産の生物はどうなってしまったのか… 前作よりちょっと難しい、けどやっぱりミステリー仕立てになっていて壮大な構想が面白い。やっぱ物理的にも時間軸的にも天文学的なスケールの仕掛けは圧倒される。
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