Reads
Reads - 読書のSNS&記録アプリ
詳しく見る
時雨崎
時雨崎
時雨崎
@rainstormbook99
SFとミステリを中心に色々読みます。
  • 2026年8月9日
    小説
    小説
    小説って、ただ読むだけじゃだめか、読んで楽しんで終わりじゃだめか、何か役に立つことを実践したり、上手い感想を言ったり、自分でも文章を書いてみたりしなければ、だめなのか っていう感じの話。 ストーリーは時々なんか突拍子も無い話題に飛んだりするけど、小説を読むって…何?みたいな主人公の心のわだかまりについて考えていく一本道のストーリーである軸はぶれないのいであんまり細かいこと気にする必要はない気がする。 やっぱり小説読むって…おもしろ!これだから好きなんだよな!
  • 2026年8月1日
    鋼鉄都市
    鋼鉄都市
    アシモフによるSF小説。舞台は未来のアメリカ。 とあるロボット工学の博士(宇宙人)が殺されたことから話が始まる。 前提として、人間型ロボットの技術が発達し社会の至るところで使われている、さらに、高度な技術を持つ宇宙人との交流もある。 ロボットっていうかほぼAIみたいなもの。人型なので自立して動く。 夢のある未来と思いきや全然ディストピアの空気ある。 人間は、簡単な仕事をロボットに奪われていることで暴動を起こすし、人口の増加への対処のために食糧は配給制、夫婦の出産可能に人数も政府により管理されているし、社会的地位のレベルによって住む場所や生活のレベルが決定されている。こわ。 アシモフといえばロボット工学の三原則。①、人間に危害を加えてはならない②、人間に与えられた命令に絶対服従(①に反する場合を除く)③、①と②に反しない範囲で自己を守る。 殺人事件を追う主人公とパートナーとなった超高性能ロボットのやりとりから著者のロボットとは斯くあるべしみたいな強いこだわりを感じる。 ミステリ的にも面白いし、AIが身近になった現代の自分たちと比較してロボットにどのような眼差しを向けて付き合っていくべきか、と考えるのも面白いし、地球の限りある資源と見えつつある限界にどう向き合うべきか、という疑問も投げかけられている。 ロボット関連で専門的っぽい話は多少読みこなし難かったけど、面白さを見い出しやすい、飽きのこないストーリーだった
  • 2026年7月31日
    ギリシャ神話キャラクター事典
    ギリシャ神話キャラクター事典
    ギリシャ神話の登場人物(神と人と怪物)を、ゼウスらオリュンポス十二神とその関係者〜神々の血を引いた者にまつわる「アルゴー号」「イリアス」「オデュッセイア」「アエネーイス」などなど一挙に取り上げて紹介してくれる本。 初心者向けの砕けた説明で分かりやすいが、元ネタのボリュームと神話にありがちな無茶苦茶な人間関係でなかなか読み応えを感じる。 全ての人物紹介に関連する西洋美術や彫刻のカラー写真をを掲載してくれているので、彫刻の元ネタ理解はもちろん、ルネサンスやラファエロ前派あたりの絵画理解にも結構役立ちそう。 名前はギリシャ読みのほか、ラテン語読みと英語読みも掲載されているのでかなり助かる。あと父母妻子の情報。ゼウスの子は多いなあ。 エピソード中に他の人物が言及されている場合はメインの紹介ページも併せて記載されていることが多いので興味の赴くままにページをめくってOK。後ろに索引もあるから、何かさっきも出てきたような…何だっけ?となった時でもうまく繋げる。 人物相関図はもっと詳しく欲しかった…が、ちゃんと書こうとすると線が複雑になってまとまらなさそう。大体ゼウスのせいですけど…。
  • 2026年7月28日
    七つのカップ 現代ホラー小説傑作集
    七つのカップ 現代ホラー小説傑作集
    七つのカップ 表題作は辻村深月 作。じっとりくる和製ホラーばかりを集めていただいた傑作アンソロ。 小野不由美や恒川光太郎、澤村伊智とかの名前で買いました。 特に気に入ったものだけ 芙蓉忌/小野不由美 小野先生の後味が悪い文章!大好きです。業が深いのに語り口は淡々とした印象がある。あんまり大袈裟じゃないというか。でもぞわりと来るような情念を描いている。 死神と旅する女/恒川光太郎 昔にあったあの不思議な出来事は、いったい何だったんだろう→あれはそういうことだったのか、もしああしていたら、どうなっていたんだろうか…の余韻をたっぷり残す空気感はさすが。 「夜市」もそうだったけど郷愁感や幻想文学の空気を出すのがとにかく上手い。上手すぎる。怖くはないけなんだか空恐ろしいような、惹かれるような。 お祖父ちゃんの絵/小林泰三 二度と読み返したく無い。が、ここまで気持ち悪い話を書けるのは凄い。 あと絵を描くことを趣味にしている人間は作中の描写で妙な流れ弾を喰らって読んでるのがずっとしんどい、そして気持ち悪い シュマシラ/澤村伊智 土着とか民俗とか横溝みたいなアレに造詣が深そうな作家さん。期待を裏切らない。 終盤の異界?に迷い込んだ時の描写にはぞくぞくした 七つのカップ/辻村深月 LEDではない昔の信号ってアレに似てる…てことであってるかな?辻村先生のことだから心温まる感じで終わると信じていた。信頼感。
  • 2026年7月15日
    夜市
    夜市
    夏だ!怪談だ! 夏になるとホラーを読みたくなる。出来れば民話系や百物語っぽいやつ。 本屋で見かけて衝動買いしたがこれほどの作品を今まで知らなかったとはなんたる損失。 どこか懐かしい情景とじんわりと哀しさを覚える静かな語り口が魅力的。ホラーというほど怖くはないがファンタジーと言うほど現実から遠く離れてはいないような、不思議な位置付けの異界幻想譚。 あとがき解説に泉鏡花など引き合いに出されていたのでああその系譜に近いか!と 収録された二篇はいずれも異界へ行きて帰りし物語の形式ではあるが…どちらも余韻が素晴らしい。とりわけ「夜市」がデビュー作だなんて信じられない。 若干ミステリー仕立てでもあり、伏線回収にアッとなる。 他の作品も積読しておこう。
  • 2026年7月14日
    走馬灯のセトリは考えておいて (ハヤカワ文庫JA)
    表題作「走馬灯のセトリは考えておいて」は世にも奇妙な物語でドラマ化している。本書書き下ろし。 6作品の短編集でSFのような…なんとも言い難いものもあるような… 「オンライン福男」 実際にありそうで無さそうでやっぱありそうな話。コロナによって福男(新年に神社の本殿に向かって徒競走で一番にたどり着いたに者の勝ち)が開催できなくなって、じゃあバーチャルでやろうという。 無駄にリアリティに溢れる取材記事のような形式で、多少トンチキな展開で雲行き怪しくなってもお構いなしというか真顔でボケてるというか。 このノリに付いて来れなければこの先の話にも当然付いていけない。気を抜くと振り落とされる。 「クランツマンの秘仏」 信仰と質量に関する架空の自叙伝みたいな。正気で書いたのかこれ?ってぐらいぶっ飛んでる。っていうか妙な熱の入り方で実在した気になってしまう。内容は荒唐無稽なんですが。 「絶滅の作法」 人類は滅びた後に宇宙人が地球で文明を再現して人間という種族を追体験している。 ようやくちょっとゆるめの話。人間って変な生き物かもしれないね。 「火星環境下における宗教性原虫の適応と分布」 後々調べたら「異常論文」と題して複数の作家が架空論文書いてるアンソロジーがあるそうで。うーんプロの作家による悪ふざけにも程がある。悪ふざけにしてはしっかり論文調の固い文章だし専門用語的なものも出るし、架空の訳者注もあるから意味が分からない。 が、あとがきまで読んで分かった。この短編集、人間として生きていく上で心の拠り所として必要になる宗教あるいは信仰の対象(一般的な宗教組織に限らない) に関する仮想と現実の話をしている。 「姫日記」 最後の一行読んでしばらく声出して笑ってた。なんなんですかこれ! 「走馬灯のセトリは考えておいて」 ドラマ見た時もすごい良い話だなあと思ったし、小説で改めて読んでみてもやはり目頭が熱くなる話だった。 散々アクセルを踏み切った短編のトリを飾るのが結構直球の良い話というのが、作者これ全部正気だったのかみたいな感じもして何とも言えない顔をしてしまうが。 "ライフキャスト"により、生前の死者の言動を再現し、バーチャルまたは物理的なボディを通して故人とコミュニケーションも生活も容易な世界。 主人公は、その故人を再現するためのコーディネーター。 出版当時もドラマ放送当時も今ほどAIが進化していなかったからどこか遠い話のように思えたけど、なんかもう…出来るんじゃないかな?でも出来たとしてもさあ、と。 地の文のおかげか、ドラマで見た時より主人公と依頼人の心の動きと傷つきやすさが繊細に感じられた。直前の「姫日記」との温度差が激しすぎる。 それにしてもタイトルが優勝すぎる。死に纏わる痛みを伴った話なのにこの爽やかさ。本短編集の中で最もキレのあるタイトル。
  • 2026年7月13日
    文庫版 鵼の碑 (講談社文庫)
    見る部分によって姿が異なる妖怪でお馴染みの鵼。 猿の顔に虎の足、尾は蛇。 この妖怪を、 本来結びつけるべきでない事象やラベリングされるべきでない名前をつけたりして、不適切な認識を持つこと、それも意識の表層ではなく自分でコントロールが不可能な深層意識の領域に刻んでしまっていること という切り口で解釈した話だった…と思う。 言語化がもてはやされる昨今だけれども、無意識、深層意識で自分の思考の表層に現れない 認識 やら 理解 やら 分類 も存在はしているのでカウンターとして面白い。出版された頃はまだ言語化がどうたらは世間で言われてなかったはずだけど。 百鬼夜行シリーズ最新作、ようやく追いついたけど難解だ…半分もわかった気がしない。 人間は信じたいものを信じてしまう、はよくある言説だけど、それに翻弄される本作の登場人物たちを見ていると薄ら寒い心地になる。 "それだけを見て、それだけを繋げれば、別の世界が見えてしまうことだろう(中略)そして勘違いするのだ。こちらが真実なのだ――と。" 認知の歪みや陰謀論を信じ込ませるのは、「理解しやすい、判りやすく受け入れやすく都合のいい形」を提示して突っついてあげれば簡単なことだよなあ…となんともやるせない気持ちになる。 今作では珍しく関口くんが酷い目に遭っていない。榎さんにバカにされているぐらい。 よかったね! そしてここにきてがっつり巷説百物語シリーズと繋がりが提示されてしまったので…そっちも最後まで追うか…鈍器を抱える日々はまだ続く
  • 2026年7月11日
    高い城の男
    高い城の男
    もしも第二次世界大戦で枢軸国が勝っていたら? "その雇い主が真の権力者、つまり日本人たちを、どのくらい左右する力があるのかなんて推測は、できるはずがない。労弁委は拝日派白人どもの息がかかっている。" こんな文がぽんぽん飛び出してくるからずっと胡乱な顔をしてしまう。 何をするにも八卦見でじゃらじゃら占いしてどうのこうのする白人たち。(日本人に押し付けられたらしい)易経を絶対視している敗戦国アメリカ人。何を読まされているんだ…? 所詮は勝てば官軍負ければ賊軍、もし逆だったらアメリカ人だってこんなもんでしょ、みたいなメタい視線を感じる。 さらに作中作で「もし連合国が勝っていたらという小説」まで出てきてああだこうだと登場人物が議論する。やっぱメタいな… 戦前戦後史に詳しければもっと面白かったかも。実在する人名がまあまあ出てくる。
  • 2026年6月17日
    猿
    この上なく京極夏彦らしい感情の解体でいつものやつ〜って感じでサクサク読める。 「愛玩の玩は、弄ぶという意味なんだぞ。愛は執着だ」 「『――怖いのはその』愛着なんじゃないか」 いつも言ってる。 話の大筋としては、主人公が会ったこともない曾祖母さんが百歳で亡くなり、岡山の山奥の土地相続のため弁護士と現地に赴くことになるという話。 この時点ではオカルトじゃない現実的な恐怖ある。いずれ身に降りかかることとして現実的にめちゃくちゃ嫌。 それはともかくとして、オカルト的な怖さ、因習的な怖さの感情を抱く時の心の動き、錯覚を会話劇を通じて持論を展開していくので、基本的に怖くない……本文の8割まで。 8割超えたあたり、恐怖の感情の正体を明かしつくした先で、形にならない名前を付けて対処もできない、ただただ「無い」ことへの恐怖が迫ってくる。 そこに無感情な主人公が急に怖い。恐怖の大半が思い込みと分かった上でなおも恐怖という感情が湧いてくるのが怖い。 内容の割にゆるいサインを見ると京極夏彦わからんな〜って思う
    猿
  • 2026年6月7日
    小説 劇場版モノノ怪 蛇神
    一つ人間の社会を形成すれば、必ず歪みが生まれる。集団としての善に個人を潰す悍ましさも、個人の欲を押し通す醜さも両方描いている。前者は傲慢に映るし、後者は幼稚で愚かに見えるけれど、そのどちらかの善悪を断ずる物語ではない。ただ両方とも在るものは在るだけ。個の心を大事にすることも、自分の外側を大事にすることも、どちらにも全てを振り切れないまま人の世はそのあわいで続いていくしかない。誰かが零か万かで他すべてを切り捨てようとすると崩壊が始まる。他者と縁を繋ぐ限り果てしなく情念を生むことは、人の営みと切っても切れない。 TVシリーズから好きだったけど3作合わせてようやくあのモノノ怪の世界観と劇場版の世界観が自分の頭の中で地続きになってくれた気がする。 唐傘の初読時は、モノノ怪の割に…情念の踏み入りが浅めだな?と思ったが3作通しで振り返るとそんなこともないのかも…? 幸子の心情の変遷がものすごく良い。本当に良い。頑なに個であり続けた幸子の心へ不意に刺さった「子」からの言葉は、TVシリーズの「座敷童」でのテーマを踏まえた上で更に現代の悲観的になりがちな死生観を受け止めた、新たな問いかけだと思う。
  • 2026年5月26日
    容疑者Xの献身 (文春文庫)
    トリックが秀逸。犯人を天才と銘打っただけある。 ミステリとしても十分面白いんだけど、とにかく石神がどうなるんだとハラハラしてページを捲る手が止まらなかったので謎解きが二の次になってしまった。 読んでいる途中で、トリックがあるにしても死体をあんな雑に置くよりバラバラにして処分した方が確実では?と思ったが、そこに対してもちゃんと理由づけがあって驚いた。 記憶を消して謎解きにチャレンジしたい。が、記憶を消したとしても石神という男の物語として素晴らしすぎて謎解きどころではなくなりそう。 湯川も、石神も、花岡靖子も、どうすればよかったんだろう。読後しばらく引きずってしまう何とも情緒を揺さぶる結末だった。
  • 2026年5月25日
    新装版 8の殺人
    新装版 8の殺人
    8の字の形をした屋敷での殺人。 点対称だからいくらでもトリックができそうだけど、これだ!と当てるのは難しい。 登場人物はコミカルでサクサク読めるけどノリが軽いのでちょっと好み分かれるかも。同作者がシナリオを手がける「かまいたちの夜」をやったことあるせいかノベルゲーで想像してしまう。 トリックは割とフェアだったと思うけど犯人あてはちょっとそれはずるいのでは!?っとなってしまった。ミステリオタク向け。
  • 2026年5月24日
    傲慢と善良 (朝日文庫)
    身につまされる! 多くの人がウワ!自分の話じゃん!ってなったと思う。 恋愛小説であり婚活小説であり、分かりやすく高慢と偏見のオマージュではあるけれど、人間関係全般に言えるなあと思うし男も女も弱者も強者も陽キャも陰キャも全員平等に刺してくる。でも誰が悪いとも言わず救いを残したり一方的にこの人だけ糾弾するのは違うよね、ってバランスを取るのが辻村深月先生らしいポジティブさがある。 ミステリー読み慣れていると、冒頭は絶対あれよねーとは思っちゃうので、素直に驚いて読める方が羨ましいな。でも真髄はそこではなく、後半の巻き返し。ヒロインを真実と書いてマミと読ませるの、単純な仕掛けだけど良かった。適当に使えば陳腐になったかもしれないが念入りな心理描写で盛り上げるからついていける。 2人の主人公たちはリアルにいたら好きにはなれない人たちだと思う。でもかつて自分も快適なゾーンから一歩勇気を持って踏み出したことが何度もあったし、その時の怖さと誇らしさをよく覚えているから肯定したい。 「コンビニ人間」と立て続けに読むとなんかこう…普通に生きるって大変だな!でもこっちが後で良かった!
  • 2026年5月24日
    闇の奥
    闇の奥
    「征服というのはほとんどの場合、われわれとは膚の色が違い、鼻がちょっとだけ低い連中から土地を巻きあげることで、見て気持ちのいいものじゃない。」 これを植民地支配する側の国の人間な台詞とするの、攻めてる。 イギリスの小説家による植民地支配の闇を、主人公マーロウが過去を振り返る形で仲間の船乗りたちに語りかける形式の冒険譚。 暗く重いテーマだけど新訳はあくまで仲間に武勇伝やら思い出話やらを聞かせるような形式の軽い口語体なのでかなり読みやすい。ヨーロッパ、アフリカの読者であれば自国のことであるという当事者としてもっと解像度を持って真に迫ってくるのかな? 植民地支配について、啓蒙してやった/文明化してやった、と捉えることを馬鹿馬鹿しいとばっさり切って捨て、植民地で原住民を搾取し狂った人間を一人称の語りで生々しく描写している。 この時代のイギリス小説としては衝撃的だったのかな。 現代で(しかもアジア圏の読者である以上は他人事として距離があるのに)攻めてると思わせるぐらいには大胆に踏み込んでいる。 つい最近、文化相対主義について聞いたばかりだったのでヒェーッてなった。現代人である自分らは「文明的に優れている/野蛮で未開である」で序列をつけることが大きな誤りであることを知っているけれど、でもそんなお綺麗な言説は植民地の闇に分け入ったことがないから何の気負いも無く言えるのかもね。
  • 2026年5月22日
    コンビニ人間
    コンビニ人間
    周囲の「普通」の人間は普通のまあまあ良い人たち。なのにこんなグロい人間関係描写あるか? 異物を認めない、異物を異物として受け入れない、自分が理解できる枠組みの、ラベリングされた存在でないと認められない。 異常者側の視点から見るとグロいんだけど、普通で、平凡で、平和な生活を脅かされたくないと思うのも当たり前だよな。 異物でなくなるため模索する後半パートも…その…もうちょっと手心を…いやこの空気でつっきったからこその芥川賞かもな…と 登場人物全員にうっすら嫌悪感を抱かせる、人間の嫌な部分を生々しく描写するのが上手い。イヤーッ 扱いにくそうなテーマを飽きさせることなく最後まで引っ張っていく、納得の文章力、構成力だった
  • 2026年5月22日
    華氏451度〔新訳版〕
    華氏451度〔新訳版〕
    華氏451度。紙の燃える温度。 昔に旧訳を読んだはずなのに記憶が8割がた消えてしまった。新訳で再読。 焚書管を昇火士に変更したのは名訳!原語のFiremanに込められた意味がよく伝わる。 これを電子で買っちゃうのは違うかなと紙で購入で正解だった。 「テレビは"現実"だ。即時性があり、ひろがりもある。あれを考えろ、これを考えろと指図して、がなりたてる。それは正しいにちがいない、と思ってしまう。」 やっぱ面白いなこの話。メディアがエンタメ重視のドーパミンをいかに掻き立てるかに比重が重くなるたびに"今こそ読んでほしい一冊"にあげ続けられるのかもしれない。 耳にワイヤレスのイヤホンを突っ込み、ショート動画とSNSのタイムラインを延々とスクロールし、AIの中身のない"もっともそれっぽい"言葉の羅列で肯定と共感を簡単に得られ、より刺激的なことをして"いいね"を際限なく稼ごうとする現代だから。 刺激に対する反応という消費をし続けているだけ、人間なんてそれで満足するんだから本を無駄だとしながら様々な本の一節を暗唱するベイティーの態度は世界に対する諦念なのか、あるいは本をよく知った上でその力を忌み嫌っているのか… 本を読む側のことも窘めている。 「気安く詩を引用するなんざ愚の骨頂。通を気取った大ばか者のやることだ」 「安受け売りの文学かぶれめ、引き金を引いてみろ」 「ずっと昔、本を手に持っていた時代でさえ、われわれは本から得たものをまともに利用してはいなかった」 「われわれは本のほこりよけのカバーにすぎない、それ以上の意味はないのだからな」 「チ。」のメッセージ性と似たところもあるな。良い再読だった
  • 2026年5月15日
    ディファレンス・エンジン(下)
    ディファレンス・エンジン(下)
    イギリス作家ってなんかロンドンを悲惨なことにさせるの好きじゃない?気のせいかな? 訳のわからないままロンドンを駆けずり回る下巻、物語の締め方やよく分からん…!と思ったので伊藤計劃の第二位相(はてなブログ)を読みなるほどな〜ってかんじ。これはマッド・ヴィクトリアン・ファンタジイ。産業革命、ラッダイドの時代に情報革命と(当時の)最先端科学への強い関心、大きな期待を盛り込んだもの。 下巻の最後には結構手厚めの用語集がある。当時のイギリスの歴史的背景もしっかり書かれているので、読んでる途中に何の話かよくわからなくなったら引くをちょっと理解できる。 でもどこまで史実だったか歴史の知識が曖昧なので副読本が欲しいな。ギブソンのノリ自体は分かるようになってきた。
  • 2026年5月5日
    箱庭世界
    箱庭世界
    本屋で一目惚れして即購入。箱庭絵はいいぞ。 様々な作家の箱庭絵が見れる。現実の世界の写実と違って、要素がぎゅっと詰められていたり、実際にはありえない夢のある世界観が限られたスペースの収まるように描かれていて、ドールハウスやゲームのマップのような可愛らしさ、楽しさがある。 描いてる作家は様々で、日本作家だけではない。連絡先がX、Pixivアカ名の情報もあって親切。 SNSをぼんやり眺めるよりこういう本をぼんやり眺める時間を増やしたほうがいいんだろうな
  • 2026年5月5日
    ディファレンス・エンジン(上)
    ディファレンス・エンジン(上)
    19世紀ロンドン、蒸気機関の発達した(19世紀時点から見て)近未来(近過去)SF。つまりスチームパンク。 19世紀イギリスといえば現実ではヴィクトリア女王とホームズの時代、大英帝国の栄華の頃。 ノスタルジーと、IF文明である蒸気機関におる高度情報社会が浪漫溢れてる。 序盤3分の1ほどまでと以降で主人公が違うけどどうつながっているのか…上巻ではまだよくわからない。何かの陰謀か?翻訳が上手いので良くわからないままでもとりあえず読み進められる。 とりあえず古き良きロンドンの空気感が良い。 伊藤計劃の屍者の帝国と時代設定が大体同じなはずなので割とスムーズに想像できた。パンチカードとかね。ありがとう伊藤計劃。伊藤計劃がギブスン好きだっていってたから積んでたので順序は逆だけど…。Indifference Engineのキレのある文章はやっぱ黒丸尚訳ギブスンから来ているんだな。
  • 2026年4月30日
    モナリザ・オーヴァドライヴ (ハヤカワ文庫SF)
    前情報無しで半分読んでも一向に読みこなせず …??? と疑問符だらけで読んでいたが途中でようやく三部作のうちの最終作と知る。とりあえず読み終わるだけはした。 ギブスンは読者に優しくない。理解したきゃ想像力を働かせろ、と突き放されている感覚がある。そこも含めて未知の世界の魅力も感じる。 とはいえ段階をすっとばしてサイバーパンク読むのはきついな…ニューロマンサーから追い直してまた戻ってこよう。 世界観は攻殻機動隊だな…と思ったけどもちろんこちらのほうがルーツなんだろうな。
読み込み中...