オムロちゃん@ゆっくりレモン "方舟" 2026年5月22日

方舟
方舟
夕木春央
正直なところまったく合わない作品だった。 最大の違和感は、地下建築に閉じ込められるというシチュエーション自体には妙なリアリティがある分、キャラクターたちの行動や心理描写の非現実的さがより悪目立ちしてしまい、物語から完全に心が離れてしまったことだ。 まず、翔太郎の立ち回りについて。彼がいったい何のために探偵ごっこを始めたのか、その動機が不透明でまったく共感できない。蓋を開けてみれば、結局のところ彼が事態を最悪な方向へ導いた戦犯と言える存在であり、読んでいて強いフラストレーションを感じた。 また、キャラクターの造形も厳しい。まいが徹底した悪女であることは百歩譲って物語のスパイスとして受け入れるとしても、主人公自身も人間性としてかなりカス、誰一人として感情移入できる人物がいなかった。 そして何よりも到底受け入れがたかったのが、まいが殺人に走るまでの決断の早さである。いくら自分の命がかかった極限状態とはいえ、普通の人間があそこまであっさりと殺人を決断し、実行に移せるものだろうか? その心理的なハードルの低さがあまりにも非現実的で、そんなツッコミが勝ってしまった。 総じて、ミステリーとしてのトリック以前に、人間の心理的なリアリティがあまりにも欠如しており、ミステリー初体験とはいえなかなか苦い体験をした
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