
しがない
@ooe
2026年5月23日
万延元年のフットボール
加藤典洋,
大江健三郎
読み終わった
「最初から最後まで一体何を見せられているんだ?」
顔を真っ赤に塗って肛門に胡瓜を入れて縊死した友人だの、チョウソカベだの、スーパーマーケットの天皇だの。この作品はそのシュールさと、大江の真剣さを楽しむ作品だと思う。
読んでいて立川流の落語を聞いている感覚に近い。
内容と評価は如何ともし難い。
弟の兄への憧れと認められたい感情、アンビバレントな態度、そして贖罪なのだろう。兄が大人すぎるがゆえに、結局弟は見離されてしまった。馬鹿らしいとでも言うような冷笑的な目が全てを突き放している。しかしそれが現実なのだと思う。現実に生きれば夢はすぐ覚めてしまう。そんな構造がこの作品にはあった。
そしてこの作品を評価している人間に対してはなんとも首を傾げたくなる。
読んだ後には「結局なにがいいたかったんだ」と言わざる得ない。だから一考した上でレビューを見るのだが、どうにもそのレビュアーたちは具体的に何がよかったかを言おうとしない。
その韜晦的で手放しな評価は、ただ読み終わった自分に自惚れているだけではないか。
本当にいい純文学は評価がくっきりわかれるものだと思う。大江天皇に陶酔し屈服する彼らを許すな。