
蛙蓮堂 書肆部
@allendo
2026年5月23日
ひとりでカラカサさしてゆく
江國香織
読み終わった
2024年7月に紀伊國屋書店新宿本店で買った(はず)。新潮文庫夏の100冊の冊子には載っているけど、帯にもどこにも100冊って書いてなかった。入っているのかいないのか冊子で数えたところ、どうやら入っているっぽい。と、改めて本屋に出向いたのだがレジに行っても景品がもらえず、お願いしたらば百年の孤独が売れすぎてもうなくなりましたと言われた。そのことを、夏の100冊のプロモーションに起用されていたし帯にも印刷されているために「上白石に気をつけろ」とつぶやいたのがその夏のことである。
そろそろ本題。(以下、自分なりのネタバレ)
若い頃の仕事仲間の老人3人が大晦日に自ら命を絶つ。集まってそこに至る様と、そのあとの親戚・知人一同の日常が織り込まれている。というあらすじ。
この小説の主人公は誰か?もちろん老人3人。帯にも主な登場人物として真っ先に書かれている。親戚・知人一同は次から次にたくさん出てきてにわかには覚えられない。その中でも何人かは印象的に書かれている。しかしこの小説の影の(あるいは真の)主人公は勇樹である。え?誰?誰?むしろその名前、出てきたっけ?小説の中では唯一、三人称でなく「僕」と一人称で書かれている。そのつもりで見直すと、老人3人が小説の進行とともに死に近づいていくのに並行して、かつ、(小説が終わった後で)劇的に終わるだろうのと同様に、小説の最後では妻の妊娠が発覚して、急激に生を意識せざるを得ない、つまり、この話は生に向かってクレッシェンドしていく、という話なんだな、と。江國香織は初めて読んだけど、聞きかじるにいろんな人間模様を鮮やかに描く、と想像していたわけですが、このことに、つまり、なぜ1人だけ僕なのかと読み終わって振り返って気づいたときに、おもしろかったというより、素直にあーうまいなーと思ったのでした。