しんどうこころ "焼跡のイエス・善財" 2026年5月24日

焼跡のイエス・善財
焼跡のイエス・善財
石川淳,
立石伯
宗教と俗世が静かに重なり合う。 キリスト教的なモチーフは感じられる。だがそれは説教のためではない。石川淳は、世界を語るためではなく、小さな日常と人間模様の中にこそ宗教を滲ませていく。 神聖な光は人間を照らし、道を示す。だが同時に、その光は人間の影をも鮮明に浮かび上がらせる。 それは白刃のように鋭く、そして危うい。 文体は粋で、荒々しく、勢いがある。読点が少なく、読みにくい。だがその文体そのものに、不思議な熱が宿っている。 戦後まもない焼跡の俗世。 人間の本性がむき出しになったその世界に、著者は宗教の影を重ねて見ていたのかもしれない。
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