焼跡のイエス・善財
7件の記録
しんどうこころ@and_gt_pf2026年5月24日読み終わった宗教と俗世が静かに重なり合う。 キリスト教的なモチーフは感じられる。だがそれは説教のためではない。石川淳は、世界を語るためではなく、小さな日常と人間模様の中にこそ宗教を滲ませていく。 神聖な光は人間を照らし、道を示す。だが同時に、その光は人間の影をも鮮明に浮かび上がらせる。 それは白刃のように鋭く、そして危うい。 文体は粋で、荒々しく、勢いがある。読点が少なく、読みにくい。だがその文体そのものに、不思議な熱が宿っている。 戦後まもない焼跡の俗世。 人間の本性がむき出しになったその世界に、著者は宗教の影を重ねて見ていたのかもしれない。



mikanz@mikanz2026年1月9日読み終わったどれもよかったけど、「処女懐胎」がすばらしく面白かった🪽🪽 「耳にほのかに聴いたとおもったそのことばは『わが羔羊をやしなえ』とひびいた。ぞっとした。ふかい懼れである。人間のかりそめに口にすべからざる此世ならぬことばであった。たちまち、この林の中は聖書の世界に割りつけられたようであった。」(「処女懐胎」)



ゆらゆら@yuurayurari2025年9月4日読み終わった初めて読んだ石川淳の短編集。モラルも秩序もリセットされた戦後の空白を舞台に、基本的に男と女の話が多いんだけど、息の長い文章で、あてもなく歩くシーンが多くて、結構好きかも。幻想に振れる「山桜」や、結婚を巡る駆引きが妙に緊張感がある「処女懐胎」も良かった。 「焼跡のイエス」は、三鷹のUNITEさんの読書会で読んで、みんなで精読するから、一人で初読の時には気がつかない細部の発見(最後の砂漠のとことか)もたくさんあって、楽しかった。 あとは、内容もさることながら、やっぱり文章それ自体が良くて、何となく最初に堀江敏幸を読んだ時のことを思い出した。時代はもちろん逆だけど、フランス文学者の書くものの系譜みたいなのがあるのかな。



