
乖離
@karu
2026年5月24日
移動と階級
伊藤将人
読み終わった
p.38
移動とは、社会的で、政治的で、経済的なものなのである。
私は移動が好きだ。
非常に個人的な感覚として散歩でも電車や車でも家から出て移動すると、心理的に安定する(元気だから外に出られるのかもしれないけれど)。
そして、中長期的にも進学や就職を機に地方から都市へ都市へと移動してきた。
私にとって移動は、選択肢を広げるどちらかと言うとポジティブなものだった。
しかし、本書で紹介される調査結果をみると、移動は「社会的で、政治的で、経済的なもの」であり、収入・ジェンダー・人種等々ありとあらゆる格差と結びついているということがわかる。
移動と成功を結びつける言説も世にはあるが、富めるが故に移動する人もいれば貧しいが故に移動せざるを得ない人もいる。移動という切り口から見ても、社会の複雑さはそう簡単には単純化出来ない。
p.122
移動をめぐる機会と可能性は、ジェンダーや階級社会階層、国籍、エスニシティ、生まれ育った地域といったものに強く規定され、影響を受ける。移動による成功も失敗も、決して『自己責任』ではないのだ。
もっと言えば、移動力を発揮して成功するという思想は、好きなときに好きな場所に移動できる、極めて限られた特権的な人間を中心とした思想なのである。
個人の自由や権利から、地球規模の環境問題まで、移動という視点から見えるものは幅広く、移動にまつわる不平等、問題は大きいということが、分かりやすくまとめられた良い本でした。


