
サブレとポッポの往復書簡
@snowflake
2026年5月24日

食堂かたつむり
小川糸
読み終わった
心に残る一節
主人公の倫子が抱える様々な問題は、どれも客観的に見ても重くて深刻なものなのですが、反面、話の展開は概ね長閑で穏やかな雰囲気を保ちながら進んでいきます。小川糸さんの作品全般にいえることですが、この作品もとりわけ里山の情景や出てくる人物に対する描写が丁寧です。表情や仕草の機微のみならず、思案や心情の揺れ動きに至るまで、とかく非常に丁寧に綴られています。
また、ショックによるストレスから声を出せなくなったという倫子の諦念、捨てられた絶望感から生きる力を失ったウサギの様子、そして終盤に描かれる母への消えない後悔を抱えたままの心については、かつての自分自身が抱えた困難とも重なる部分が少なくありませんでした。だからこんなにも倫子にもウサギにも感情移入出来たんだろうなって、読み終えたあとの付箋や書き抜きの多さに、ふと改めて思うのです。