瑞白青維 "カフネ" 2026年5月25日

カフネ
カフネ
阿部暁子
1行目を目にした瞬間から惹き込まれてしまっていました。最初からしばし涙が止まりませんでした。読んでいるこちらが「誰か!気づいて!」と叫びたくなるほどに、主人公が追い込まれていく様子を想像することがつらかったです。同時に、深く傷ついても生きようと藻掻いている姿、姉であろうとしている姿が愛しかったです。 人にはそれぞれに自分しか知らない傷があり、大人になっても過去を思って傷の深さを確かめることがたくさんある。家族だろうと恋人だろうと分かり合えないことがたくさんある。それでも今を戦うように生きている。そこに一時でも、少しでも救いあれ。といった祈りを勝手に受け取ったような気持ちになりました。 「食事」も作品の要ですが、出てくる料理がとても美味しそうで、読みながら「作ってみたい」と何度も思いました。きっと1つ1つの料理にやさしさが詰まっているからこそ、よりそう思いました。硬く絡まった心の糸をふっとほどいてくれるような食事シーンの描写が強く印象に残っています。 気付きにくい愛情も、痛いくらいに纏わりつく愛情の顔をした束縛もこの世にはたくさんあるけれど、「これはなんだろう?愛なのかな?」と確かめながら、確かめ合いながら生きていくのだろうかと考えさせられました。 大好きな作品がまた1つ増えました。
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