
yomitaos
@chsy7188
2026年5月25日
ととはり屋敷
澤村伊智
読み終わった
@ 自宅
盛り上がるホラー・怪談業界への牽制が効いている。澤村伊智作品を読むといつも感じるその実感が、本作にも充満していた。
人気の比嘉姉妹シリーズにおける、短編が6作収録されており、過去作で明かされている兄弟姉妹たちの最期が描かれる、とても読後感の重い本だった。
大抵の場合、不幸な目に遭う被害者がいて成り立つのがホラーや怪談といった分野だと思うが、それをエンタメとして楽しむことの罪悪感を忘れさせてくれない。
例えば主人公たる琴子は凄腕の霊能力者だが、育った家庭においては、今で言うところのヤングケアラーだ。冷徹で達観した佇まいは子供の頃からで、それは子供でいることを許してもらえなかった環境に影響されているのは間違いない。
そして収められた短編の一つでは、それが理由で、琴子がピンチに陥る場面が描かれる。小さい頃から大人でいなければならなかった琴子が絶対に思いつかない、いや想定すらできない発想が解決に導く。これには唸らされた。
表題作の「ととはり屋敷」という短編にも、頼れる大人の不在がしっかりと描かれる。こういった社会批評の文脈が息づいているのが、澤村伊智作品が高く評価される理由なのだと思う。
因習村とか、グロテスクな化け物を出すとか、そういった手合いの真似事ホラーとは一線を画している。