
句読点
@books_qutoten
2026年5月24日
働くということ 「能力主義」を超えて
勅使川原真衣
読み終わった
自分が自営業を選んだのは、「能力主義」が嫌だったからなんだ、と納得できた。
でも自営業だろうと、能力主義の問題はずっとつきまとってくるので、組織のなかで働いていない自分にとっても得るところの多い一冊だった。
能力に応じて成果に差が生まれるというのは出自によって差をつける身分制などと比べれば平等な制度のように映るが、しかしその個人の能力というものも結局は運や偶然、出自によってかなり差がついてしまうもので、つまり個人にはどうしようもできない面も多々あるので完全に平等とはいえない。
それに能力というのもかなり曖昧な概念で、個人の能力だと思っているものも、それを可能にするさまざまな環境要因とか、ケアしてくれる人のこととか、さまざまな条件が揃った中で生じるもので、個人でどうにかするには限界がある。にもかかわらず、社会はひとりひとりが能力を上げていくことが大事だと説き、人々もそれを自明なことのように受け入れているが、それによって社会全体の余裕がなくなっているようだ。
能力主義とは人を孤独な修行へと向かわせるようなものだが、勅使川原さんは、個人の能力よりも、各人が各人の特性にあったところで、それぞれの持ち味を発揮し、組織としてスムーズに動けるようになることの方が大事で、個々人の能力を高めるよりも、すでにあるものをいかに活かし、シナジーを起こしていくかの方が大事なのでは、そっちの方がいろんな人にとっても生きやすいのでは、という提案をしている。レゴの例えがわかりやすかった。教育もそのような方向になっていけばいいと思うし、社会全体がそういう方向にいってほしい。