雨垂
@amadare__
2026年5月25日
一次元の挿し木
松下龍之介
読み終わった
ミステリかと思ったらライトなSFだったし、かと思えば最終的には軽めのスリラー・サスペンスだった。
儚げな雰囲気っぽいと思っていたが、めちゃくちゃ人が死ぬ(しかも雑に)。
ループクンド湖での調査風景から一転して、主人公(七瀬悠)の義妹であり現在行方不明中の七瀬紫陽の葬式から物語は始まるが、あらかたの謎は中盤あたりで解決して、終盤は殺人鬼とのバトル展開だ。
味方側である主人公たちには美しさや英雄性や賢さがくっついてくるのに対し、敵(ほぼ牛尾のこと)には醜さや怪物性や狂気ばかりが付与されている対比がちょっとグロテスク。悠(本文内で何度も顔の良いことが描写される)は紫陽の見た目に結構惚れていて「可愛くなくなったら紫陽じゃない」(要約)みたいなことを言ってしまうシーンからして、ある程度は計算されたグロさなのだと思う、多分。
「二百年前の人骨のDNAが行方不明の義妹のDNAと一致していた」という事実は重厚なSF作品の雰囲気を感じさせるが、そこは割とあっさり片付けられるというか、この作品は全体的にこじんまりとしていて、登場人物は皆ある程度想像通りの人生へと落ち着いていく。
牛尾は人を殺して回っていた時は紳士的で余裕のあるミステリアスなサイコキラーという感じだったのに、最終バトルでは叫びながら斧を振り回す怪物みたいになってしまったのは勿体ないと思う(でも最初から殺し方がワンパターンな上に、拷問描写が特に無いから、まぁこうなるか……)。


