雨垂
@amadare__
好きな小説『ファイト・クラブ』『コンビニ人間』
- 2026年2月23日
悪い男アーナルデュル・インドリダソン読み終わった読み終わった。 タイトル「悪い男」で、序盤に殺人事件の被害者がレイピストであることも示唆されるから、どんでん返しがあるかと思ったが、むしろひたすら淡々としている。悪い男はずっと悪かった。 警察が主人公で、捜査パートがひたすら続く。日本のエンタメの感覚だと、こういうものはある程度圧縮するのが普通に感じるが、この小説ではひたすら事件の関係者(どれだけ関わりが薄くとも)に聞き込みをしていく。 読了するか、面白く読むには、こちらもただ情報を追っていくだけの淡々とした読み方を事前に習得しておく必要がありそう。 それにしてもこの街、監視カメラがなさすぎる。頼れるのは9割方、人の記憶。 主人公の女性警官は結婚していて三人の子供もいて、血に足のついた生き方の人。 読むうちに割と好感を持っていたのか、尋問パートは結構ショックだった。状況的に他の人が見つからないというのは分かるけど、物的証拠(指紋のついたナイフや返り血のついた服)が無いのになぜニナかニナの父親が犯人だとほぼ確定して物事を進めようとしている? ニナの意識がはっきりしているとしたら、レイプを趣味にしている男は酒にも酔っておらず薬も飲んでいない女性を家に連れ込んだということになるし、そもそもニナは最初から計画的に男を殺すつもりだったということになり、その方向性で確定するにはあまりにも証拠が少なすぎるだろう……。ニナの父親が犯人だとしても、ナイフの存在や、男が生きている状況でニナはいつどうやって電話をかけたのかが謎すぎるし。 途中「誰もが犯人に思える」といった心中の告白もあったし、もうここで終わらせたいというエリンボルクの疲弊を表していたのかもしれないが……うーん。 もっと現場の科学的な捜査をした方がいいと思うのだが……。 作品全体に漂う硬質さは結構好みだが、上記の点が気になったのと、あと、翻訳の影響なのか会話が堅苦しい。地の文ではあまり困らないが、長く会話が続くと平坦で、読むのにちょっと疲れるかも。 - 2026年2月13日
- 2026年2月12日
神曲 地獄篇ダンテ,平川祐弘読み終わった読み始めたこいつ、自分で自分を六大詩人の末席に加え入れてます!!! そんなことしていいんだ……。 余談だけど、この本を買った書店には地獄篇しか物理本の在庫が無かった。地獄下りだけしてろってか。 読み終わった 以下感想 まず翻訳が素晴らしい。他の訳を読んでみないことには相対評価は言えないが、読みやすく理解しやすいという点で絶対的に素晴らしいことは分かる。 歌ごとに最初に現代語で粗筋が書いてあることでこれからの流れを予習できるし、最後に当時やダンテの価値観やダンテ批評がまとまっているのが良い。 あまりにも基本的すぎる部分には訳注は無かったが(キリストを裏切ったユダの詳細など)、『神曲』を読もうとするやつなんて雑学程度にはキリスト教やギリシャ神話の知識があるに決まってるので、そこは問題にはならないだろう。 そして何よりダンテの詩才が素晴らしい。地獄の元ネタ自体はギリシャ神話や聖書から取ってきてるのだが、それをよくここまで膨らませられるな。地獄の描写も情感的な上に精緻で、読者に地獄の造形とダンテの心境が非常によく伝わってくる(訳者も見事だ)。 伝説的詩人であるウェルギリウスが案内してくれるのも、傲慢すぎるけどよく出来ていて便利な設定だ。基本的に傲慢すぎるだろと感じる設定と描写だらけだが、実際それぐらい天才なんだろうなと思うと腹が立つ。 エンタメ的にも面白い。ダンテの知り合いとかも出てくるけど、歴史的有名人が地獄でシバかれてるの、面白すぎる。人間のサディズムを程よく刺激させてくれる。 しかし『神曲』で描かれる地獄は、嫌っちゃ嫌なんだけど、めちゃくちゃグロくて悪意があって恐ろしいよ〜とは思わないので、ダンテはサディスト的思考をあまり持ってないんだろうな。貴志祐介とか湊かなえが描いた地獄とか……うわっ、想像しただけで嫌な気持ちになった。 - 2026年1月27日
アリアドネの声井上真偽読み終わった雑なところは色々感じるものの、まぁまぁ面白かった これミステリか? 本屋か帯の紹介文かに「ミステリ」「どんでん返し」とあったが、それらに惹かれて読み始めた人は期待外れになるかも 作中で何度も繰り返される格言「無理だと思ったらそこが限界なんだ」を、主人公は最後の方までずっと「だから無理だと思わなければいい」と解釈していたが、自分はむしろ「だから無理と思ったらそこで止まろうね」の方だと最初から思っていたので、この解釈の違いを読者向けへのギミックとして作用させてるのが少々厳しいかも 他にも、読者の思考を逸らそうとして意図的に触れなかったり別の解釈を被せたりしてる場面があるので、読書に慣れてる人ほど「ここらへんで読者を騙そうとしてるんだろうなぁ……」と推察がついてしまうだろうなと思う でも、スマートシティのお披露目で市長たちが演説したその日に地震が起こって崩れ去る絶体絶命都市のシナリオすぎるところとか、最後の主人公の推察がめちゃくちゃ外れてるところとかは結構面白かった - 2026年1月19日
- 2026年1月16日
悪魔情報城戸,オモコロ編集部読み終わったオモコロのサイトで読んでると何回もスクロールしないといけないけど、本としてぎゅっとなることでかなり読みやすくなってた。 書籍化するにあたって、「オカルト現象に悩んでいる人が悪魔情報に悩みを解決してもらうために、悪魔情報の出現したまとめスレを見て回っている」という付け加えられたストーリーが面白かった。書き下ろしも面白い。 江喰邸の話は相変わらずいつ読んでも怖い。 - 2026年1月16日
- 2026年1月14日
順列都市(下)グレッグ・イーガン,山岸真読み終わった面白かったけど、これはどこまでいってもフィクションじゃないか? いや、もちろん、フィクションであることは最初から分かっているわけだが。 エリュシオン世界の設定が、自分の考える「死後の世界(第二ステージ)がこうだったらいいな」に似ていたので、非常に参考になった。 主観時間と客観時間とか、不死の世界でのそれぞれの振る舞い方とか。まぁ崩壊したんですけども。 エリュシオン世界の崩壊へと繋がる要因は、もしかしたら現実でもそうなのかもしれないと思わせてくれた。 本当は神のような上位存在が、創始者として最初の大枠を作ったりしていたのかもしれないけど、人間たちは人間にとって筋の通った答えを見つけ出してきた。人々は世界の謎を解き明かしてきたかのように見えるけど、それはそう見えるだけで、実際は別解に合わせて世界の方が姿を変えてるだけかもしれない……。 その発想は確かに面白かった……けど、エリュシオンってコンピュータで計算された世界じゃないのか。生粋のエリュシオン生物であるランバート人が独自に作り出した理論の方がランバート人のコミュニティ内で力を持つのは分かるが、なんでそれに合わせてエリュシオン人の世界が崩壊(内破)するんだ。 まぁ、最後にマリアが言っていたように、「もっと深いレベルのルール」があり、それに応じた挙動をしてるだけかもしれない。その解明パートは、物語の主題とは関係ないからこの物語はここで終わりなだけで。 にしても、この小説、変な男とそれに振り回される女ばっか出てくるな。 ピー←こいつ、変すぎる。ケイトのことが好きなのに、それはそれとして『百年の孤独』のアウレリャノ・ブエンディア大佐(晩年)みたいなことばっかしてやがるし、別にケイトが凍結してても、そもそもあんまり会わなくても別にいいのかよ。もっとメイクラブしろよ。 ケイトはケイトで、仮想現実にコピーとして生きている割に、現実世界の方が楽そうな思考をしている。 そんで、ダラムとマリアはどの流れでセックスしとんねん。どういう情動してんだ。 こいつら分かんねぇわ……。 トマス・リーマンは……完全に同一な人間なら何度シミュレーションしようが同じ結果が出るはずだけど、エリュシオン内のトマスは記憶がどんどん溜まっていくからシミュレーションするごとに少しずつ別の人間へとなっていき、最後の最後でようやく別の行動を取れたんだな。それはいいけど……もうちょっと早く何とかならなかったか? 記憶が残ってんだから女がなにを言い出すかも分かるだろ。なんで毎回殴っちゃうどころか同じ台詞を言っちゃうんだよ。むしろそれは殺しにいってるだろ。いや、自身の罪悪感と向き合う自傷行為だと思えば同じことしちゃうのも分かるか。にしたって繰り返しすぎだが、都合のいいアンナを作るとかもしないし。向いてないんじゃないか、不死。 - 2026年1月7日
- 2026年1月5日
- 2025年12月22日
順列都市(上)グレッグ・イーガン,山岸真読み始めた
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