
人工芝
@_k55y
2026年5月26日
かたちだけの愛
平野啓一郎
読み終わった
人を愛するということは「相手の欠けている部分を埋めること」ではなく、
その人の痛みや弱さごと受け止めようとすることなのだと感じた。
この作品では、事故によって身体の一部を失ったことで、
自分自身の存在や価値に苦しむ姿が描かれている。
しかし、本当に苦しいのは身体の傷だけではなく、「以前の自分には戻れない」という喪失感なのだと思った。
周囲から理解されているようで、
実は誰にも本当の孤独が見えていないところが、とても切なかった。
また、この物語では「愛」は綺麗な感情だけではなく、
執着や依存、不安とも隣り合わせであることが描かれていた。
ただ優しく支えるだけではなく、相手を救いたいと思う気持ちが時に重たくなってしまうところに、人間らしさを感じた。
タイトルの「かたちだけの愛」という言葉には、
見た目や言葉だけでは本当の愛は測れない、という意味が込められているように思う。
人は完全には分かり合えないからこそ、それでも相手を理解しようとすることに価値があるのだと感じた。
読後には、愛とは何か、自分が誰かを大切にするとき本当に見ているものは何なのかを考えさせられる作品だった。


