
歯
@zettaigokakuc
1900年1月1日
世界99 下
村田沙耶香
ユートピアは、現実世界と隔絶した場所にあって、ディストピアは現実世界の延長線上にある。
全編において露悪的すぎる。ただ、現実社会の描写は気持ちいいくらい今を体現している。だから、生活の中でたまに「今世界99だ」と思う時がある。こんなふうに読んだあとも何回も思い出すのだから、素晴らしい作品なのだと思う。
あのアルパカもどきの登場によって性にまつわる出来事が男女二項対立でなくなったのが新しく、面白い。男女というくくりから、搾取されるものと搾取するものというくくりに代わって、搾取するものも、誰かに搾取されているという構造を示す。それは現実世界と同じだけど、性別で二分しないことによってより詳細にそのことについて描けていると思う。
例えば、女の主人公が、自覚しながら母親を搾取する側として振る舞ったこと、過度なアダルトコンテンツによって自分より弱い立場の属性に対する性欲に加害欲が混ざっていったこと、この二点が描かれたことが私にとって革命的だった。『あの子は貴族』を観たとき、輝いてる正しい女しか出てこない!と思ったので余計そう思う。上手く書けないのでここらへんは書き直していく。
恐らく主人公の友達だけ読者と同じくらいの正常性を最後まで持って生きてるんだけど、彼女を主人公にせず主人公の友達のポジションに置いたのがとても面白い。私たちにとって1番まともな人間が、主人公の視点を通して見ると異質な存在で、逆説的に主人公の狂気
性を際立たせる。



