いち。 "52ヘルツのクジラたち" 2026年5月27日

52ヘルツのクジラたち
「ひとには魂の番(つがい)がいるんだって。愛を注ぎ注がれるようなたったひとりのひと。あんたがその魂の番に出会うまで、わたしが守るよ」 52ヘルツのクジラとは、他の仲間に聞こえない高い周波数で鳴くため、音を届けられないという孤独の存在。家族に人生を壊され続けてきた女性、貴湖は同じような扱いを受けている少年、ムシと出会う。これは同じ孤独感によって惹きつけられた2人が成長し、愛を知るまでの軌跡ーー。 人生を生きる上で自分を邪魔する障害が現れたとしても、共に打ち砕いてくれるような人がきっとどこからか現れて、悪い流れを断ち切ってくれる。自分に嘘をつかなければ、何かがいい方向に働いて変わっていく。そんな様子がクジラの鳴き声という比喩表現となって、壮大な物語として感じられる。人の愚かさと優しさのせめぎ合いに苦しんだり温かくなったりする、社会派小説の擬似体験は確かにフィクションだけれども、どこかリアリティがある。これが癖になる理由の一つだと理解した。
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