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いち。
いち。
@tokisakananao307
読書好き。 読むスピードが遅い、もっと速く。 アウトプットが下手、もっと上手く。 何事も積み重ねあるのみ。
  • 2026年10月7日
    君を狂気と呼ぶのなら(新潮文庫nex)
    「あなたが来てくれて、本当に嬉しかった。でも、そんなことしなくてよかった。あなたは私なんか忘れてくれていてよかったのだ。」 ある家族に宗教勧誘という名の毒牙がかかった。ただ4人が幸せであれと願っていた。切江深霞は信者となった母を見捨てるわけにはいかず、葛藤しながらも神を信じた。姉に止められようと、世の中との乖離に疑問を持とうと、必死で神を信じ、祈りを捧げた。声が彼女を呼んでいる。本当の狂気はこんなところにあると誘ってくるーー。 救いのない緊迫感で迫り来る恐怖が強く感じられる作品。運命に逆らえば、逃げれば、逆らえばいいのに、そう考えながらも彼女が心底優しいことを知っている事実が邪魔をして、ついつい続きが気になってしまう不思議な感覚がここにはある。
  • 2026年10月6日
    白昼夢の青写真3
    白昼夢の青写真3
    「先生の書くもの、読んでみたいけど」 かつて作家を目指していた有島は非常勤講師として、味の抜けたガムのような日々を送っていた。そんな彼の元に現れた銀髪少女、名は波多野凛。才色兼備な彼女との出会いをきっかけに、有島は自分の人生に色がついたように感じていくようになる。その先は茨の道と知りながら、この衝動を止めることはできないーー。 波多野凛は彼の止まっていた歯車を簡単に突き動かすことができてしまう魔性の女。有島のいちばん欲しかった言葉を、まるでこの時のために生きてきたかのように思える一言を、出会ってすぐに、無意識のうちに与えてしまう少女。こんな避けられない攻撃をくり出されるならくらってもいい。自分が有島になったなら過去を拭うように死ぬ気で頑張れてしまうはずだ。3つのエピソード記憶を辿った。この作品の本領発揮はここからだ。
  • 2026年10月1日
    レプリカだって、恋をする。6 Through Their Eyes
    「それは、俺が生きているからだ。生きていれば思考を止めることはできない。毎日どころか、毎分毎秒、何かが変わっていく。変化することから、逃れることはできない。」 オリジナルとレプリカが辿った軌跡をなぞる六つの断片。幼少期の素直とナオ、ナオとアキの映画館デート、早瀬の行方、吉井と素直の大学生活、ナオとアキのその後、夏の海岸の少女、などを収録。 本編補完という枠組みでありながら、気になっていた謎が解けていく感覚もしっかり感じられる締めくくりの一冊。ドッペルゲンガーという存在について考えさせられた物語の終幕に切なさと同じような寂しさを覚えている。
  • 2026年9月29日
    レプリカだって、恋をする。5 Side:Original
    「正解を、効率の 良さを、より良い暮らしを追い求めながらも、どこの誰が言ったかもよく分からない言葉を信用する迂聞さを、私たちは当たり前のように持ち合わせている。」 ナオがいなくなった1年間、オリジナルである愛川素直はレプリカに依存せずどう過ごしたのか、何を得て何を感じたのか、戸惑いながらも、少しずつ成長していく素直の姿が確かにここにあった。 目を背けていた日常に向き合うこと。オリジナルの彼女にとっては難しいことであったが、慣れない中で少しずつ足を進める彼女を、ちゃんと見ている友人たちは確かにここにいた。普通なんて普遍的なものを理解することは当たり前に難しい。
  • 2026年9月26日
    レプリカだって、恋をする。4
    「別に後先考えず突っ走るのだって、間違いじゃないと思うんだ。それを周りの大人は若さとか青さとか、好き勝手に言って笑うかもしれないけど。だけど、その果てでこんなはずじゃなかった……って後悔するような人生にはしたくない」 決断の時が迫る。オリジナルに戻るか、レプリカとして生き抜くかは私に委ねられている。答えはすでに決まってる。クリスマスに大好きな彼と観覧車に乗って、想いを伝えた。後悔はない。これで元通りになるはずだから。 オリジナルにあった優しさを奪う形で、レプリカとして存在している自分が生き方を探すことに抵抗があったが、これまでの日々を通して、自我を持って行動し、成長したからこそ最善の方法を考えていく彼女に、もっと欲張っていいんだとつい言ってあげたくなる。そんな感情を抱いた。
  • 2026年9月17日
    レプリカだって、恋をする。3
    「いったい、獣でも人間でも、もとは何か他のものだったんだろう。初めはそれを憶えているが、しだいに忘れてしまい、初めから今の形のものだったと思い込んでいるのではないか?」 文化祭でいなくなったリョウ先輩を思い出す日々を送る中、季節は冬になり、ナオはレプリカとしての役割を失うことになった。修学旅行へ行く素直=オリジナルを見送り、先輩の故郷へ赴いたナオとアキは自分たち=レプリカとは何なのか、そんな大きな問題とついに向き合うことになる。 消えた先輩を通して、レプリカとしての終わりを告げられているようになり、ナーバスになったナオがいよいよ自分の行く末を本格的に考える試練にぶち当たる。1巻でレプリカに疑問を持ち、2巻でレプリカがどうなるか知った、今回はレプリカとは何なのかを感じさせる重要な役割を担っている。
  • 2026年9月14日
    レプリカだって、恋をする。2
    「私は、私じゃなかった頃には戻れない。だから今はただ、身体から水がなくなるまでみっともなく駄々をこねることを、あなたとの別れを嘆くことを、許してほしいと思った」 レプリカながら普通の学生生活を送れるようになったナオは、アキとの距離を着実に縮めることができていた。そんな中、所属している文芸部の廃部通達がきたため、阻止しようと奮闘するが、そこに待っていたのは、忘れられない文化祭との出会いだった。 自分は何者か。その問いを抱えたままに苦しさを感じつつもレプリカは成長していく。無意識のうちに感情を出すことに抵抗を感じなくなっている。自分が持っているすべてが偽物ではなく、本物だと信じて歩んでいけるように。前を向く彼女達は確かにここにいる。
  • 2026年9月11日
    レプリカだって、恋をする。(1)
    「自分しかない何かを、持ち合わせている人はほとんどいないのだろう。人間だろうと。レプリカだろうと」 私は愛川素直のレプリカだ。オリジナルの身代わりとして働くことが唯一の使命、そう思っていたーー。彼と出会い、理由もなく惹かれ、変わらないものを変えようと努力した。オリジナルじゃない、私の中にある、らしさを感じてもらうために、今日も私らしさを取り戻すように、髪型をハーフアップにした。 本物と偽物、瓜二つだとしても異端なのは確実に後者だと捉えられるが、どちらにも人生があるはずで、そこには自由意思が存在していいはずだ。オリジナルをもとに作られたレプリカというものがもしあったなら、心も身体も空っぽなんだと、私たちが勝手に思い込むのは軽率かもしれない。
  • 2026年9月3日
    かくれやど 旅籠屋つばき結び帖 (徳間文庫)
    「何かを変えるのを、いつもどこかで恐れていた。変えられると思ったことさえなかった。けれど今は、風が吹いている気がする。」 父親の暴力に耐えて生きてきた明彦は笛売りをする青年である。会ったこともない叔父が死に、旅籠「椿屋」を引き継ぐことになったが、その場所には椿という若い女性がいた。旅籠で叔父の日記をみつけると、今と全く変わらない椿との日常が記されていた。見た目が変化しない彼女と、旅籠で出会う人々を通して、明彦は自分なりの生き方を探し始めるーー。 旅籠(はたご)は江戸時代の宿場町にある旅館のこと。椿が明彦に安らぎを与えながら、生きる意味をもたらしていく過程を見て、温かい気持ちになっていく感覚がある。旅籠には何かを抱えた人が泊まりにきて、波乱はあるが学びが多く得られる一貫性がある。椿は料理上手の設定で、食べ物の表現が鮮明で想像を掻き立てられる。
  • 2026年8月26日
    法中毒学者 家達ルイ
    「よし、じゃあさっきの遺体にコーヒーを賭けよう。私は他殺にアメリカーノ」 民間研究機関C.E.L.Lに所属する家建ルイはエナジードリンクを常用し、大型バイクを乗りこなす風変わりな法中毒学者である。今日も彼女の周りで「毒」を用いた不可解な事件が起ころうとしている。彼女のバディとして事件を捜査することになったエリート警察官の九条はこう思った。あんな嵐のような女とやっていけるのか、とーー。 「万物は毒であり、用量のみがそれを薬とする」 という言葉を放つ彼女の、他人に影響されず、自分の思うがまま行動していく姿勢もまた、捜査における毒と薬のようなものではないかと思う九条が徐々に彼女の魅力に気づいていくところは読み手の感覚に最も近い視点であり、痛快である。 彼女がなぜ「毒」に執着するのか、その若さで大成した理由とは何か、数々の事件を通して行き着く真相にたどりつくまで飽きることなく読み終えることができる良作。
  • 2026年8月19日
    大阪電車春秋
    大阪電車春秋
    「いろんな人のいろんな人生を乗せて、今日も電車は行き交う。南へ北へ、東へ西へ。」 大阪を走る6つの沿線。ひた走る列車と停車する駅、知らないところで様々なドラマが生まれている。家族、友達、他人、さまざまな題材を元に描かれる人情短編集ーー。 帰省中、大阪の紀伊國屋にて、それなりに大きくコーナーが用意されていたので購入。大阪の雰囲気を強く感じられる一冊。駅名がとにかくたくさん出てくるので、さすが電車を題材にしているだけあると感じられると共に、大阪弁で構成されているのが特徴的。地元民としては非常に読みやすい印象を受けたが、慣れていないと違った感覚を味わえそうだ。 勝手にサブタイトルをつけてみた 阪神電車:虎に乾杯 京阪電車:鉄オタと心残り 近鉄電車:推しの真実 南海電車:老人の旅路 阪急電車:彼女の秘密 大阪メトロ:交差する想い
  • 2026年8月11日
    ノルウェイの森(下)
    「死は生の対極にあるのではなく、我々の生のうちに潜んでいるのだ」 大学を休学し京都へ移り住む直子と、大学で頻繁に絡むようになった緑、ワタナベにとって両方が大切なものになりかけていた。成長しているはずの身体と心で正しさを探しながら、自分の意思に葛藤しながらも時間は進んでいく。ワタナベが最後に選び取ったものとはーー。 死というものが人を結びつけるきっかけを生むこともある。キズキが死んでワタナベと直子が愛し合ったように、天に召されるからといって、その人のすべてが失われるわけではない。誰かの中に強く存在し続ける。そんな存在になることができたら、必死に生きた証明になるのではないかと思う。この世に残ることは出来なくても、残せるものはきっとある。 人間は自分の本能を無意識のうちに、他人と比べて奥底へ封じ込めてしまう。普通という概念が不明瞭だから怖くなる。誰も正解なんて持ち合わせていないのに、答えが欲しくなる。 アウトプットに時間がかかったので読んだ日付はだいぶ前。純粋に。歳をとってからまた読みたい。村上春樹作品は追っていこうと思います。
  • 2026年8月10日
    ヒロインが最後に死ぬラブコメ ~夏の思い出編~【電子版特典付】2 (PASH!文庫)
    「私を助けたら、許さない」 門城譲理は生徒会に所属しており、内申点を稼いで良い大学へ行こうと計算高く生きていた。そんなある日、蛇目花蓮という問題児を更生させてほしいと依頼を受けるが、彼女は譲理がかつて初恋をした女の子にそっくりだった。彼女と過ごす中で淡い感情が蘇ってきた譲理は花蓮にこの感情を打ち明けようと決意するがーー。 前作の明るい雰囲気とは打って変わって、ヒロインもお話も落ち着いた雰囲気でお送りする本作は、1作目よりも善悪の表現が明確にあって、より没入しやすいつくりに感じられた。ダウナー系女子が紆余曲折あって、心を開く兆しが見えた時、あの瞬間は何にも代え難い喜びをもたらしてくれる。
  • 2026年8月9日
    ヒロインが最後に死ぬラブコメ ~夢の彼女編~【電子版特典付】1 (PASH!文庫)
    「今から、わたしの家……来ない?」 夢で会った女の子。赤井楓にとってはまさに理想的な人だった。同じ演劇部の女子には当然の如くキモがられてしまうが、転校生として現れたのはまさにその女の子だった。早希と名乗る彼女とは住むアパートの部屋も隣で、2人が惹かれ合うまでに時間はかからなそうだ。この展開の速さにあなたはついてこられるかーー。 王道ラブコメとしての満足感がしっかりと味わえる中で、タイトル通り、そうはさせまいと話が展開されていくので、しっかりと歯応えも感じられる作品。ハイスピードラブコメというジャンルを謳うのも頷ける。
  • 2026年8月8日
    ノルウェイの森(上)
    「僕ひとりだけがその風景に馴染んでいないように思えたからだ。」 大学生の頃、十八歳という若さで東京に上京したワタナベ。世間知らずなまま成長した彼は、生きる意味をかすかに考えながら雑多な日々を送り続けていた。親友キズキとその彼女の直子、3人で遊ぶことが多かったが、ある日、キズキは自殺してしまい、直子と2人残される形となった。生きていく中で、何を失って、何を得たのか。三十七歳になったワタナベはそんな日々を思い出していたーー。 生々しい、まるで誰かのモチーフのような、そんな人生を歩んでいる登場人物が多く、生きるというテーマを強く感じる。未成年から青年に近づくワタナベと共に歩む人生に、味や趣きを感じられる。緑がとても良いヒロインであることは間違いない。
  • 2026年7月31日
    悪魔情報 ある失踪したネットアイドル捜索スレ
    〇悪魔情報 ある失踪したネットアイドル捜索スレ 517:ショック:2024/12/22(日) そのままの意味だよ 地面からプロペラが生えて、立川ごとヘリコプターになって飛んでっちゃう 奇妙な出来事に巻き込まれる匿名ユーザーたちと「悪魔情報」と名乗る著名ユーザーが、空回りしながらも想像できない怪異へ立ち向かった記録を集めたフェイクドキュメンタリー。 頭で考えることがバカらしくなるほどに、展開を読もうとしても常に上をいかれる。このネットの海には狂気じみた人物表現と様々な怪異があって、よく考えてみると全然洒落になってないのについ笑ってしまう。笑みが溢れる。悪魔情報の扱いは相変わらずひどいものだが、彼(もしくは彼女)という存在は無意識のうちに心強いリーダーシップを発揮している。n回目だがこんなのもありなんだ。この作品なら1作目を読んでなくても全然問題ないだろう。
  • 2026年7月27日
    パッキパキ北京
    「もし上手くできなくても、勝ちには変わりない。なぜなら最初から勝ってると、自分で決めてるからよ」 元銀座ホステスの菖蒲は夫の要望でコロナ禍の北京へ移住し、新しい生活を始める。愛犬のペイペイと共に生きる彼女は、人生はエンジョイしてなんぼだと言わんばかりに、自由に、大胆に日々を過ごしていくがーー。 ただ欲望のまま生きるとはこのことか。気持ちいいくらいに周囲の目を気にせず、美味そうな中華料理を貪るように味わい、自分の芯を曲げない菖蒲に生きる強さというものを教えられた気がする。楽しめ人生。立ち止まってなんていられるか。まさに痛快な話だった。
  • 2026年7月21日
    星を編む
    星を編む
    「逆だよ。弱いからふんばらないといけない」 「ああ、そうかもしれない。本当に強い人はもっとしたたかに、しなりながら新しい自分を作り直す。わたしは、しなったら折れてしまう気がする。だから必死で曲がらないようふんばるしかない。負けるな、負けるなと自分に言い聞かせて。」 金星のように、かすかに煌めくような物語の断片。北原の過去。二階堂、植木の苦難と葛藤。暁海の未来。『汝、星のごとく』では語られなかった3つの物語がここに集結。それぞれの生き様を目撃し、櫂がいた証をなぞることができる至極の一冊。 過去にどれだけ苦労していても、登場人物には現実が待っている。リアリティある儚さや静けさが、一貫性を持ちながら歩いてきて、ときに安堵するような温かさを与えてくる、このサイクルが読み手の感性を揺さぶってくる。人間は誰もが主人公だからこそ、良いことのほうが少ない。もがいた先でようやく何かを得られる苦労を疑似的に知ることで、困難も、幸せも、自分らしさでさえも、無意識のうちに形成されていくような気がした。
  • 2026年7月16日
    虎と月
    虎と月
    「私の目に映る”ものたち”はおそらく、はじめからそこにあるのではないのです。かれらは私が名前をあたえることで、ことばにすることで、はじめて私の世界に立ち現れてくる。”ものたち”は、名前があたえられることで、はじめて無名性の世界から抜けだして、私の世界に存在するようになるのです。」 行方不明の父親が虎になったと聞いた。そんなわけないだろうと思いながら出会った不思議な詩から、父親が虎であると確証を得る。このままでは自分も虎になってしまうかもしれないと不安に思ったとき、少年はすでに旅に出た後だった。 『山月記』を息子の視点で描いた話。学校で習ったけど、断片しか覚えてないなぁというのが読んだきっかけ。あとがきで書かれている「原作が好きすぎて、擦り切れるほど読んだことで生まれた新しい形」というのはいい話。自分が好きな物事の影響は新しい風を吹かせる可能性を持っているんだと実感できる。
  • 2026年7月13日
    プレゼント
    プレゼント
    新潮文庫の100冊フェア50周年記念として描かれた7つの物語がここに集結。多彩なジャンル×夏というテーマにより自分に合った物語や言葉に出会えると銘打った一冊。自分好みのジャンルってなんだろうという観点で初心者にもオススメされている。登場人物の想いや背景が丁寧で、余韻が残る作品が多いと感じられた 「ウッドペッカー荘事件」伊坂幸太郎 数々の事件に遭遇しながら距離感が近づいていくヨフネと尊。ところが事件を通して物語は意外な展開に進んでいく。ヨフネの声色を想像すると結構アツく込み上げるものがあった。 「二つの宇宙」江國香織 祖母のことが好きな主人公とその恋人との出来事が描かれる。祖母が個性的で、振り回される主人公に大変そうだなぁとしみじみ思う瞬間が多い。 「真実のトランク」宮部みゆき 真実のトランクを持つという男性。彼はそれを利用してとある真実をしらしめる。あの時、なぜ偉そうな男達から私を助けてくれたのか、それを知るのはもっと先の話。犯罪者に該当しなくとも悪と呼べる存在がいることを再認識し、日常の中にある疑問を考えるきっかけを得られる。 「きっとあの日の光と同じ」町田そのこ 幼馴染の男子のそれぞれの恋。本来はこうやって人を好きになるのが理想なのかなと、そう思わせるような出会いと障害による葛藤。読み手の視点でカップルを見ることの心地良さたるや。これコンビニ兄弟の番外編なの!?読んでない!読まなきゃじゃん! 「無明」米澤穂信 真夏の新宿駅。乳児の首に手をかける母親。守るべきものを守る力がないことでタガが外れたのかもしれない。けれどそんな風になってしまったのは何が原因か、奥底に眠る根源があるのではないか。これはもしかしたら夏の暑さという目に見えない脅威のせいではないのか。 「見越しの松」梨木香歩 遠くの景色を「見越す」位置へ意図的に植えられた松を、造園の世界では「見越しの松」と呼ぶらしく、景色を切り取るためのシンボル的存在であると同時に、この世と別の世の境界のような役割を担っている。樹齢◯年の木が急にいなくなったら、その土地にどんな影響があるのかなんて誰が想像できようか。 「伝説の季節」恩田陸 学校に漂う、どこか不穏な空気感に呑み込まれる感覚のホラー。不気味だ。夏のテーマってそういうことなのですか。
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