
読書するはる
@surusuru
2026年5月27日
同志少女よ、敵を撃て
逢坂冬馬
読み終わった
章が変わり、不吉な引用文が現れるたび、戦禍の本質といえる人を狂わせる力が主人公たちを蝕んでいたように思う。
初期のドイツ復讐に燃えていた彼女は、数々の戦いを経て、自分の本当の敵とは何か、自分が敵を殺す大義名分は何かという問いに答えを出せていなかった。どんな英雄であろうと、人であり、そして人はそんなに強くない。彼女自身も人を殺める理由、己が為の正義に飢えていた。
『戦争は正義のぶつかり合い』という言葉を聞いたことがあるだろうが、この戦争小説を読んでそう考える阿呆はいない。戦争時における国家は欺瞞と狂気で満ちており、そこに本当の正義などはなく、立場の弱い存在は常に搾取され続ける。
この構造によって、苦しんだのは主人公だけではない。遊びを忘れた子供、後半になるとその影すらない犬、未来ある学生、そして女性たちだ。皆同じく戦う力を持っていなかった。否、本来なら戦う必要などなかったのだ。だからこそというべきだろうか、戦争が起きて一番最初に被害を被るのは常に社会的弱者である。勝者のために都合よく利用されてきた本当の被害者は声を上げることすらできない。
この理不尽を根絶させるという背景を以てタイトルの本当の意味がわかるのではないだろうか。
(社会的弱者たる)同志少女よ、(搾取に狂う)敵を撃て








