汐見 "わたしを離さないで" 2026年5月29日

汐見
汐見
@siomi250927
2026年5月29日
わたしを離さないで
わたしを離さないで
カズオ・イシグロ,
土屋政雄
読み終えて、なんて寂寥感に満ちた本だろうと思った。 主要人物3人、キャシー、トミー、ルース。 共同生活を送る子ども時代から10代までの、複雑な感情の動きに多くのページ数が割かれている。その中には感情のコントロールの難しさや、わざと意地悪を言ってしまってすぐに後悔したり、など普遍的で心当たりのあるものも。 彼女たちが人格を形成し感情を育む1人の人間であると認識した上で、大人になった彼女たちの「役割」が物語を終わりに導いていく。 こういう題材だと物語中の社会の声や善悪についての議論が主な内容になりそうだけど、あくまでその立場に生まれて、そう生きるしか術のない人の視点だけで書かれているのがすごいと思った。 憐れまれるだけの存在ではなく、喜びの瞬間や美しい思い出がある。 そのことがまたなんとも言えず切ない。読後に長い余韻が残る。
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