

汐見
@siomi250927
ゆるっと記録
- 2026年5月22日
超個人的時間旅行藤岡みなみ読み終わった「現実の中のタイムトラベル」がテーマのエッセイ集。 アンソロジーなのでいろんな人の文章を読める。共鳴のようにすごく響く人もいれば、よく分からないけど妙に気になる人も。名前を控えて他の著作も読みたくなる。 どのエッセイも良かったなあ。感性と文章力の高い人たち。上記のテーマなだけに、全体的にノスタルジックな雰囲気。 読みながら自分自身の過去を振り返ったり、着眼点に目から鱗だったり、自分がこのテーマで何か書くならどうなるかなと思ったり。 - 2026年5月22日
- 2026年5月19日
青青といく永井紗耶子読み終わった江戸時代後期、実在した儒学者・経世家の海保青陵にまつわる歴史小説。 物語冒頭で、「自分の遺灰は空に撒け」と遺して亡くなった青陵。最後の弟子となった真面目な気質の主人公は、生前全国を巡っていた青陵の所縁の人々を尋ねて、京の都から江戸、川越、秩父、金沢等を巡る旅に出る。 諸国の人々により青陵の生き様が回想形式で語られる、という構図になっているのが良かった。 自由に生きること、人には向き不向きの違いがあること、時勢を読み慣習に拘らず変化を恐れないこと、など。 青陵は超合理主義な考えの持ち主だなあと。唱えることが道理にかなっているとしても、これまで続いてきた仕組みを変えることは難しい。現代社会にも通じるところが、この頃(もっと前?)からだったのか……と思ったりもした。 海保青陵という人がいたことを改めて知れたし、小説としては、主人公自身の成長や家族の物語など読後感が良かった。 - 2026年5月19日
感情労働の未来恩蔵絢子読み終わった著者は脳科学者とのこと。人の感情の動きの仕組みについての解説、AIと人間の違いなど。 書名から、例えばサービス業の現状と今後の変化予測、みたいな内容を想像していたけどそれとは違った。 全体としてはちょっと取り止めのなさを感じた。一つ一つの内容は確かに!と思ったり、へ〜と思うことが多く面白かった。 p.141 "言葉にならないものから生まれた言葉が人間の言葉で、言葉から生まれた言葉が人工知能の言葉なのである。" という一文は思わず何回か読み返した。詩的な良さがある。 - 2026年5月19日
- 2026年5月12日
中国TikTok民俗学大谷亨読み終わったReadsのレビューで気になって読んだ本。 中国国内版のtiktokを手掛かりに、中国の民間信仰の現場を取材した民俗学ルポ。 信仰対象のこともさながら、紹介者がいると一気に話がスムーズになったり、偶像の写真を撮ると怒られたり逆に催事の動画を欲しがられたり、現地の人々の描写も雰囲気が伝わり面白かった。 なるほどーと思った箇所として、 日本では宗教=洗脳される、とタブー視されがちで強烈な宗教アレルギーを持つ人が多い。一方で中国の一部の田舎地域には、人々がシャーマンの所にフラリと立ち寄り気持ちをリフレッシュできる、喫茶店のような素朴な宗教空間がある。そうしたライフラインがある方が、不当な悪徳宗教の被害を受ける人も減るのではないかということ。 線引きは難しそうだけど、健全な心の拠り所として機能する場があることは確かに良いなと思った。 - 2026年5月12日
記銘師ディンの事件録 木に殺された男ロバート・ジャクソン・ベネット,桐谷知未読み終わった面白かった!海外ファンタジーミステリー小説。ややSF寄り。 変わり者だけど卓越した推理力の捜査官と、見聞きしたもの全てを記憶する改変を受けた助手のバディもの。 事件の捜査を主軸に、雨季に海から襲いくる巨獣と、それへの対処を中心に人々が動いている世界観が見えてくる。 この世界でまだまだ物語が広がる余地があるのだろうなあ。2作目、3作目も邦訳が出てほしい。 記銘師、練薬師、数理師など独自の肩書きが出てくるけど、こういうのは漢字の相性が良いなと思う。英語でも面白そうではある。 翻訳もとても読みやすかった。翻訳が良いと原文も見てみたくなる。 - 2026年5月8日
錦繍宮本輝読み終わった蔵王で10年ぶりに偶然再会した元夫婦の、書簡集形式の物語。 当時言えなかったこと、訊けなかったことを文字に書き送りあう内に、互いの現在の人生も見つめ直していく。 日にちを空けて送られる手紙を読みながら、二人の道がまた交わるのかそれとも離れるのか、行く末が気になって旅行中時間の空く度に手に取り読んだ。 女性が精神的に強くて眩しい。最後の手紙にすごくグッと来た。この先の幸福を願わずにはいられない人物像。 宮本輝さんの小説は名脇役がよく出てくるように感じる。モーツァルトしか流さない喫茶店の店主夫婦、彼らと交わされる会話、とても良かった。つい39番を流しながら読むなど。 - 2026年5月8日
白鷺立つ住田祐読み終わった江戸時代後期の比叡山延暦寺が舞台の小説。大阿闍梨になるため過酷な「千日回峰行」に挑む仏僧の話。 馴染みのない内容で最初読めるかなと不安に思ったけど、引き込まれるうちに気が付いたら読了。 小説内でも章をまたぐと数年経過しているような年月のかかる修行。その行程を初めて知る面白さに加えて、子弟の互いに対する複雑な心情など、 濃い人間ドラマも。 悟りに近づき生き仏と成るための厳しい修行の原動力が、切実で強烈な「欲」であることが対比になっている感じがして面白かった。 読み終えた後に千日回峰行について調べて、現代にも満行して大阿闍梨となった人がいることを知った。 - 2026年5月8日
エンド・オブ・ライフ佐々涼子読み終わった在宅で看取られてゆく人、在宅看護に携わる人のノンフィクション。 著者のあとがきに、取材に際して少なくない死を見てきた中でひとつだけ分かったことは、私たちは誰も「死」について本当にはわからないということだ、とある。 命の長さは平等ではなくて、病によってそのことを宣告された時にどのように向き合うのか。本人とその家族、周りの人々。人の数だけそれぞれの命の終え方があり、正解も不正解も無い。 自分や家族の命の終わりが見えた時、その時にしか実感できないいろいろな感情が湧くだろうなと思う。この本で取材を受けてくれた人々の心持ちを再読することが支えの一つになるかもしれない。 - 2026年5月1日
未明の砦太田愛読み終わった太田愛さんならではの社会派小説。 労働問題が大きなテーマ。4人の非正規工員達が、自分達の置かれている不条理な状況を労働法、憲法の変遷などから学び、封殺されそうになりながらも会社や公安といった大きな組織に対して立ち向かう。 声を上げて権利を主張することの難しさ。永遠に搾取され続ける状況だと認識しながらも、変化や弾圧を恐れて踏み出せない周囲の気持ちも分かる。分かるからこそ、この小説の熱が響く。カタルシスのある小説。 - 2026年5月1日
忘れられた巨人カズオ・イシグロ,土屋政雄読み終わった記憶の忘却にまつわる物語。過去に何が起きたかを忘れたまま、目の前の幸せを信じるのか。霧に覆われていた辛い真実を再認識しても、変わらずに愛や幸せを感じることができるのか。 登場人物たちのそれらについてと、自分の身に置き換えたそれらについて考えた。 旅の行程で老夫婦が支え合う姿が微笑ましかった。物語の語り手(主に老夫婦の夫)が忘れていることはこちらも読むことができないので、後半になり記憶が晴れるにつれて彼らに新しい印象が生まれたりも。今現在の人となりでその人を見るか、過去にしたことがどうしても障害になるか。現実ではケースバイケースだろうなあ。できるだけ今の方を尊重したいとは思う。 - 2026年4月27日
日本に現れたオーロラの謎片岡龍峰BooksMandeville読書会読み終わった読書会で紹介した本。 江戸時代、鎌倉時代、飛鳥時代に記録された赤い扇状の光。今のオーロラのイメージと全く異なるこれらの記録は、オーロラだったのかどうか。 文理の垣根を超えた「オーロラ4Dプロジェクト」として、宇宙空間物理学者の著者が日本のオーロラ史を紐解いていく。 図書館で読みすごく面白くて購入した本。 昔の人々の記録(記述)を今の時代に考察できることの凄さを実感した。 『星解』(1770年)、『明月記』(1204年)、『日本書紀』(720年)と、当時の人々が確かに生きていたことを実感する。 文字の文化、それらを保存してきたこと、現代で読み解き科学的に計算し当時の記録を紐解くこと。連綿と続く人々の労力に、浪漫を感じつつ敬意を抱く。 オーロラの仕組みも集中して読めば理解できるように分かりやすく書かれている。 - 2026年4月27日
迷路館の殺人<新装改訂版>綾辻行人読み終わった館シリーズ3冊目。ここから初読。 おもしろかった〜。推理する謎が大きく二つあり、最後の答え合わせまで楽しんだ。シリーズで読んでるからこそ唸らせられる面もあって嬉しい。 - 2026年4月25日
- 2026年4月25日
龍の守る町砥上裕將読み終わった好き作家さんの現行最新作。 現場で伝説と言われていた消防士が、119番通報を受ける司令室に配属される。迅速な判断を迫られる司令室の仕事の難しさ、大切さなど。 現場では人の命だけでなく自分の命を懸ける場面もある。葛藤はもちろん心に長く残る恐怖も。頭が上がらないなあと思った。 砥上さんの本は水墨画シリーズ、視能訓練士シリーズどちらも大好き。人にお勧めするとしたらそちらから。 - 2026年4月23日
水車館の殺人 <新装改訂版>綾辻行人読み終わった最近"十角館"を再読したので、こちらも。 今年は館シリーズを少しずつ読んでいこうかなと。 警察不在、招かれざる探偵役あり、不穏な雰囲気漂うミステリー。 あとがき、有栖川有栖の解説(新旧版)まで読み、満足。 - 2026年4月21日
気になる部分 (白水Uブックス)岸本佐知子読み終わったまたまた岸本佐知子ワールドを読む。 同名の本が最初に白水社から出たのは2000年のようなので、25年以上前かあ。 4部構成なのだけど、思わずページを捲る手が止まったのは第3部の表題、"軽い妄想癖"。 軽い……? - 2026年4月21日
サラエボのチェリストスティーヴン・ギャロウェイ読み終わった戦争は虚しい。本当に。 フィクション小説の形ではあるけど、戦渦の人々の悲しみ、憤り、虚無感が静かに且つ切実に伝わる文章だと感じた。 幼い頃の無邪気な思い出の詰まった街。そこが、通りを渡るだけでいつ撃たれるか、爆撃されるか分からない戦地になるということ。肉体的・精神的な消耗。 生死だけでなく、停戦後のことに思いを馳せる描写がリアルに感じた。戦争を体験した自分はどのように生きていくのか、街の文化や文明をどのように絶やさないでいられるのか。人生を歩んできて突如戦争に巻き込まれた人であれば、少なくとも肉体的な痛みの無い時には確かにこういうことも考えるだろうと思った。 生き延びることへの不安。戦争は、あらゆる面で幸福を遠ざける。 本書では、その大きな暗さの中でも希望を持とうと、人間であり続けようと静かに奮闘する人々が書かれている。 手元に残して読み返す本。 P.201 "ここで起こったことを、ドラガンは絶対に忘れないだろう。戦争が終わって、むかしの暮らしを取り戻すことができて、しかも、彼が生き延びたとしても、なぜこのようなことが起こったかを説明することはできないと思う。説明には論理が必要だが、今のサラエボに論理など存在しない。こんなふうになってしまったことが、彼にはまだ信じられない。生涯、信じることができないであろうことを、ドラガンは願っている。" - 2026年4月21日
灯台からの響き宮本輝読み終わったとても良かった。市井の人々の物語に弱い。 主人公と商店街の人々の、気の置けない会話にクスっと笑う。読んでいて幸せを感じる。 初老の主人公の、娘・息子たち、商店街の昔馴染みたちや縁あって知り合った若夫婦との関わり方が眩しい。こんな風に会話ができるのは見ていて気持ちが良い。 亡くなった妻や父への思いなど、主人公自身はもちろんその周囲の人々の人生がしみじみと伝わってくる。 芯を持ち生きること。一瞬の中も永遠があるということ。
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