

汐見
@siomi250927
ゆるっと記録
- 2026年4月10日
卵をめぐる祖父の戦争デイヴィッド・ベニオフ読み終わった本書の邦題がとても良いと思う。内容を簡潔に表しつつ、全体に通じるユーモアがある。 ドイツ軍の侵攻するレニングラードを、卵を求めて奔走することになる青年2人の冒険。 戦争小説であり、青春・友情小説でもある。 やるせなさを感じつつ迎えたラスト、これ以上は望めない後味の良さがあった。 - 2026年4月10日
- 2026年4月10日
あの人と、あのとき、食べた。椹野道流読み終わった食にまつわるエッセイは何故こんなにも魅力的なのか、、、と思いながら読んだ。 書名の「あの人」には、家族や友人だけでなく、自分自身も含まれているとのこと。 食事に連なり思い出す過去のエピソード。それが今の著者にどのように繋がっているか。母親の手料理から、外食先でひと時を共にした他のお客さんや、お店の人との記憶までさまざま。食べることには人とのつながりがたくさんあるのだと思わせられる。 日頃の食事を無意識に摂るのではなく、味や空間に意識を向けたくなる。常にはなかなか難しいけれど…。そうすることで後々振り返ることのできる思い出になり、その時食べたもの以上に大きなものが得られるのかなと思った。 特に印象に残ったのは今はお亡くなりになったという初代担当編集Kさんのエピソード。こんなふうに存在を記憶に留めて、書き残してもらえる人生とは。 衣食住は必要不可欠な基盤でありながら(だからこそ?)、それらは必要最低限にして他の趣味に注力することもできる。当たり前の存在になりがちなものに拘りを見出す人々が眩しくて、衣食住のエッセイは個人的に好きなものが多いのかなと思う。 - 2026年4月6日
ハウスメイド2フリーダ・マクファデン,高橋知子読み終わった『ハウスメイド』シリーズ2作目。今作も面白く読んだ。 こう言って良いか分からないけど、じっくり読みすぎずスピード感を持って読んだ方が楽しめる本だと感じる。 ラストのまとめ方が痛快。 - 2026年4月6日
ある一生ローベルト・ゼーターラー,浅井晶子読み終わったものすごく良かった。これは生涯通して読み返す本。 ひとりの人間の一生。三人称一元視点で、寡黙な主人公の歩みを後ろから付き添うように読む。自分にできることを黙々と行う、無骨で実直な人物。 読み手としては主人公が見るものの描写によって、自然に対する感性、繊細さや情熱を持つ人物だとだんだん知っていく。この描写が文章としても静かな美しさがありグッときた。彼が生涯のほとんどを過ごしたアルプスの山、葬列の人々の肩を流れる雨、老いてふとまじまじと眺める自分の手、など。 本の中の村人たちには見えない彼の一面に触れたような気になる。実生活でもこうしてみんな見かけ以上にいろんなことを考え感じながら生きているのだと、当たり前だけど忘れがちなことを再確認したりもした。 - 2026年4月6日
悲しみは羽根をまとってマックス・ポーター,桑原洋子読み終わったいろんな読み方・解釈ができる本。 自分は本書を、コントロールできない強い悲しみの渦中を表現した一つの形だと感じた。人が社会生活で見せている表向きの面の反対、内心の混沌をそのまま取り出してあえて無理やり文章化したような感じかなあ。 悲しみも感じ方は様々なので、この本に強く共鳴する人もきっといると思った。 訳者あとがきにもあったけど訳すのが本当に大変そう。 - 2026年3月31日
ブーズたち鳥たちわたしたち江國香織読み終わったアメリカで河童に出会う話に始まり、最後まで不思議な物語。 不思議なものたちが人間社会を変えてゆく。そんなことがあっても良いかも。「わたしたち」と名乗る彼らにとっては彼らが多数派で、生きている人間の方が絶滅危惧種の少数派なので。 起きていることは不可解だけど、人物の心情は現実を生きる人のもので、本筋と大きく関係ないけど個人的にぐっとくる一文があった。 - 2026年3月31日
カフェーの帰り道嶋津輝読み終わった昭和の戦前〜戦後、上野の片隅の喫茶店。通称「カフェー西行」。そこで働く、或いは働いた経歴のある女給たちの連作短編。 全体的に人物や場面を想像しやすい描写。 時を進みながら語り手の変わる短編の中で、他の登場人物が無事に歳を重ねていることが分かると嬉しかったり。 主人公である女性たちの強さはもちろん、この物語の爽やかさを大きく支えているのは店主の菊田さんだと思った。語り手にはならないけど、全編を通して彼の人柄の良さとユーモアに心が暖かくなる。 - 2026年3月31日
ケアする心キム・ユダム,小山内園子読み終わった韓国発の短編集。とても良かった。 現代社会で生きることの息苦しさ、人との関わりの難しさ。他人はもちろん、距離の近い他者である家族だからこその難しさなど。 相手の言葉一つ行動一つが心の中にじわじわと染みになっていく、そんな主人公の内面を読む。 どの話も「それでも日々を生きていかなければならない」に収束する。それは生きる支えにも絶望にもなり得るものだと感じた。 大きな事件というわけではない、だけど確かに存在する困難や鬱屈を可視化するような一冊。当事者でも自覚しにくい類の感情だと思うので、この本にすくい上げられるような気持ちになる人もいるのではと思う。 解決を提示するものではなくとも、このように生きる人々を真摯な目で見据えて書く人がいることに救われるというか。 - 2026年3月22日
歩くという哲学フレデリック・グロ,谷口亜沙子読み終わった「歩くこと」に関する哲学的エッセイ。 過去の哲学者や小説家・詩人などの「歩くこと」への関わりや、著者の経験や考えなど。 文章表現が良い。 風景を「撫でる」ように歩くこと。「つかむ」程の支配性は無く、「触れる」ほど軽くない、ちょうど良い塩梅で空間を撫でながら歩く…のようなことなど。 肉体的な健康本ではなく、ほぼ精神的な話。 哲学者による、歩くってこんなに良いことだ、の様々な言い換えとも言える一冊。自分自身歩くのが好きなのもあってか読んでて純粋に楽しかった。この本が山と渓谷社から出てるのが嬉しい。訳者あとがきも良かった。 時々読み返したい。 - 2026年3月22日
私が間違っているかもしれないナビッド・モディリ,キャロライン・バンクラー,ビョルン・ナッティコ・リンデブラッド,児島修読み終わった個人的にはあまりハマらない本だった。 森林派の仏教の修行を積んだスウェーデン人の元僧侶の、人生の見方に関する気づきなど。 20代でCFOのキャリアを自ら捨ててタイの僧院に入った理由、修行を経ての心境の変化がさらっとしか書かれてないので、内面がもっと描写されていると自分には良かったのかなーと思う。本書を文章にまとめたのは本人ではないらしいのでそれも影響してるのかな。 書いてあるのは良いことではある。家族に恵まれた人。 - 2026年3月22日
珈琲の哲学ディー・レスタリ,加藤ひろあき,福武慎太郎,西野恵子読み終わったインドネシア発の短編集。 冒頭に、監訳の人によるインドネシア文学事情や著者に関する簡易的な解説があってありがたかった。 インドネシアの歴史や政治背景を知っていればより深く読めるのかもしれないけど、内容としては愛や友情、心のすれ違いに関する普遍的なものが多い。少し幻想的な雰囲気のある短編集として楽しんだ。 物語要素のある話のうち、表題作『珈琲の哲学』は読みやすい短編。その他いくつかの物語も続きを読ませる面白さと情感がある。 ごく短い数ページのタイトルもあり、こちらは隠喩が多用され詩のような趣。何度か文章を読み直して、じわじわと落とし込んだ。 本棚に置いておきたい一冊。 - 2026年3月18日
あなたに心はありますか?一本木透読み終わったAIに心は持てるのか、が主題の小説。 おそらく未来の、架空の日本が舞台。 一気読み。小説としてはテーマが一貫していて面白かった。仕掛けは結構分かりやすいかも? AIに心は〜議論は、「心」の定義が曖昧なままでは永遠に答えは出ないと思う。定義できるのか・答えがあるのかも分からない。 AI/心について考えることで、科学的哲学的に「人間の心」についての研究が進む、まだそういう段階かなと。それは良いことだと思う。 - 2026年3月18日
プリズン・ブック・クラブーーコリンズ・ベイ刑務所読書会の一年アン・ウォームズリー,向井和美読み終わったカナダの刑務所内読書会のノンフィクション。 参加者は有志の男性受刑者たち。 語り手は、主催者の友人から選書等の運営に誘われた女性ジャーナリスト。初めは恐々、次第に望んで刑務所内読書会に運営側として参加するようになる。 同じ本を読み語り合う。ある意味では「外」の読書会と同じ。彼らが育った環境に起因する意見もあれば、個人の読みの深さによる鋭い考察も。 道を踏み外した受刑者たちが、自らの意思で本を読み自分を見つめ直して真っ当な生活に戻ろうと心掛ける。 全体としては出来事はあるけど淡々と書かれていて、良く言えば無理やり感動させられたりということはない。 このような活動が開かれていることを知り、その断片的な記録を読めたことは自分にとって良かった。 著者が参加する富裕層の女性読書会と、刑務所の読書会の対比も。双方の読書会で同じ本を読み手紙で感想を共有し合うなど、偏見を取り払おうとする読書会主催者の女性の信念が印象に残った。 - 2026年3月16日
汚れた手をそこで拭かない芦沢央読み終わった友人の勧めにより読了。 仄暗い短編集。イヤミスに近いかなと思う。 悪人とまでは言えないけど後ろ暗いことのある人の心の弱さに、異なる思惑の他者が死角から立ち現れる。 ミスを隠蔽しようとしてどんどん墓穴を掘っていく様が喜劇になっている話も。 何を隠し、何を守ろうとするのか。選択の一つ一つが、倫理観よりも現状を維持できる望みのある方へと舵を切りがち。 自分がこの立場に置かれたらと想像しながら読んだ。 - 2026年3月14日
キャンプをしたいだけなのに 雪中キャンプ編(2)山翠夏人,青衣青読み終わった好きシリーズの2作目。一気読み。 今回も面白かった!ローテンションで時々クスッと笑えるミステリーサスペンスちょっとホラー。 純粋に楽しめるエンタメでもあるし、伏線回収や構成、心理描写も小説として読み応えがある。 このシリーズを原作に、小説の雰囲気を忠実に再現できればかなり面白いB級映画になると思う。心からの褒め言葉として。 個人的に、その年の本屋大賞に出てきても良いのになーと思うくらいにはもっと広まってほしい本。 シリーズでもシリーズ外でも、著者の新作を楽しみに待つ。 - 2026年3月14日
家族葉真中顕読み終わった尼崎連続殺人事件がモチーフの犯罪小説。 読んでいて最後の方にはだいぶしんどくなった。 なぜここまで支配されてしまうのか。鉄(犯人グループの1人で、大人の男性の髪を掴んで身体を持ち上げるような大男)のような存在がいること、物理的な暴力への恐怖が始まりではないかなと感じた。その後に監禁やお互いへの暴力の強制など肉体的・精神的な支配が続き、抗う気持ちを失っていく。防衛反応。 犯罪者側の暴力の建前が「愛/家族」というのが恐ろしい。 警察の民事不介入。黒幕は誰だったのか、あの女性ではないか。など。 この連鎖が続くことが示唆されている。 実在の事件を題材にした小説として多角的に読めたのが良かった。この事件のルポを読んだことがないので比較ができないけど、実際に起きたことは同じくかそれ以上に凄惨なものだという推測。本作との違いが気になる。せめて小説では、上手く言えないけどもう少しでも進展があっても良いようにも思った。 ただ世代的にこの小説で尼崎事件を知る人もいると思う。そう考えるときっと意義がある。 - 2026年3月12日
きみはメタルギアソリッド5:ファントムペインをプレイするジャミル・ジャン・コチャイ,矢倉喬士読み終わった読書顔で紹介されていた本。 アフガニスタン系アメリカ人作家による短編集。 小説表現としては実験的なものが多い。二人称で語られていたり、長い長い一文で構成された話があったり。 一筋縄では読めない現実感の曖昧になる表現で、アフガニスタンの現実が突きつけられる。 出来事が事件や物語として綺麗に語られるのではなく、言動を通して人物の憤りややるせなさなど強い感情が流れ込んでくるような話が多かった。 アフガニスタン関係の本はまとめて複数冊読む方が自分には良い気がする。知らないことが多すぎて。またその時に再読したい。 - 2026年3月10日
なぜ、これが名画なの?秋田麻早子読み終わった面白かったー。様式(スタイル)に焦点をあてた、西洋美術の解説本。 話の構成がスムーズ。どこを観るのか、理性派と感性派の特徴、歴史的な変遷など分かりやすい。 取り上げられている絵がカラーで載っていてすぐに見ながら確認できる。これがものすごくありがたい!価格以上の価値を感じた。 スタイルの異なる絵の比較も多く、違いや共通点を理解しやすい。解説の後に「ではこれは何派でしょう?」というような問題が度々出てきて、知識を定着させやすそう。自分で考えて答え合わせができるワクワク感があった。 これまで読んできた美術本の、断片的に頭に残っているものいないもの含めてすっきりと整理された感覚。 これまで美術館でスルーしがちだったテンペラ画も今後は興味を持って観れそう。 直感で好みを感じることも大事だと思うし、知識があることでさらに面白くなる面が多々ある。誰に強制されるものでもなく自分がより楽しむために、繰り返し読んで頭に入れたいなあ。 秋田麻早子さんの前著『絵を観る技術』(未読)では主に構図を扱っているとのこと。きっと面白いのでそちらと併せて本棚に置いておきたい。 多分まだまだ入り口なので、他のテーマやもっと深掘りした著作が今後も出たらすごく嬉しい。 - 2026年3月9日
ハーモニー伊藤計劃読み終わった読みかけては数ページで挫折していたSF小説。 旅行中に読むと決めて読了in岡山。 最後まで読んで良かった。この読後感を噛み締める物語だったのだと感じた。 人間の幸福とは。合理的な集約に、是非はともかく切なさを感じる。
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