
酸菜魚
@suancaiyu
2026年5月29日

読み終わった
@ 自宅
透明書店でたまたま見つけた。
デビュー作から読めてよかった。
そしてかなり好きな作家だったので続けて別の作品を読みたい。
視覚、聴覚、位置情報、さらには思考といった個人情報を提供する代わりに収入を得られるアガスティアリゾートという特別区で、適応できる人とそうでない人の物語。
サーヴァントというAIアシスタントみたいな存在にみんな判断を頼っている。
この点現実がどんどん近づいてきているところで、AIの進歩はすごいと改めて思う。
正義と倫理と自由について問うような物語が、複数の主人公を介して展開していく。
・物理的に見られているわけではないのに、ずっと誰かに見られている感覚に耐えられるか?
・他人の情報で再構築した過去を追体験してよいのか?
・行為ではなく、思想を根拠に人を逮捕していいのか?
・自分の過去から作られるレコメンドに従うことは、自由と言えるのか?
リゾートに入れるかどうかはその人物の行いや思想によって判断されるのだが、安全とも危険とも簡単には言い難い「不確定要素の多い人物」がもっとも対処に困る、というのがおもしろいと思った。
安全な人はもちろん問題ないし、危険な人はあえて犯罪を起こさせて逮捕することで安全を保つ。安全とも危険とも言い切れない人は何をするかわからないから監視を付けなくてはいけないが、コストがかかりすぎる。
『予測の困難さ』が情報管理社会においてはもっとも取り扱いが難しいのだ。
これ、統計やディープラーニングをやっている方にとっては当たり前なのかもしれない。外れ値の取り扱いに時間をかけるくらいなら、無かったことにして排除してしまおう、となるのも無理はないような気がする。
どっちつかずな人間は、どっちにもなれなくて、いないものにされてしまうのかもしれない。





