ちゃそす "旅のラゴス" 2026年4月30日

旅のラゴス
旅のラゴス
筒井康隆
45  南を目指して、ラゴスは旅をする。 顔真似、壁抜け、卵道、銀山の奴隷狩り・・・ なぜ南を目指すのか。なぜ旅をするのか。旅とは何なのか。 一生涯の旅を描く物語。 始め、超能力のある不思議な世界を旅する話で、独立したエピソードからなる短編集のような話なのかと思ったが、読んでみると舞台はSFで、ラゴスの生涯の旅を刻んだ連作長編だった。 旅の愉快さと危険、出会いと別れが繰り返し描かれた先でたどり着いた南の国で、ラゴスの目的とこの世界の成り立ちが明らかになる。 出会う人物は皆、現実の人間のようなリアルさはないのに、妙に生き生きと感じた。比喩も風景描写もコンパクトなのに、ラゴスの目を通じて豊かな世界を感じることができる。  生物として人は本来、一所に定住せず、流浪する生き物だという。読み終わってなんとなく、散歩に出かけたくなる。そんな作品だった。
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