ちゃそす
@1000book_zautusu
2026年5月27日
マーダーボット・ダイアリー 下
マーサ・ウェルズ,
中原尚哉
読み終わった
47−48
かつて、統制システムのエラーにより警備対象である人々を殲滅した警備ボットの”弊機”は、システムをハッキングすることで自由になった。それでも、”弊社”の下で顧客を警備する日々を続けていた。
ある日、顧客が巻き込まれた事件によって、”弊機”は統制システムをハックした暴走ボットであることが顧客にバレてしまう。襲いかかる危機を切り抜け、”弊社”からも解放されて真に自由の身となったが──?
とても面白かった。普段は進んだページ数を見て「これだけ読んだな」となるところ「あとこれしか残っていない」と思いながら読み進めた。
SFにはアンドロイド、ロボット、サイボーグ、人造人間など様々な形態があるが、”弊機”は構成機体という、ロボットをベースに生きた人間のクローンパーツを組み合わせた、逆サイボーグのような存在なところがまず新鮮だった。それでいて、人間が苦手なのに連続ドラマ視聴に耽溺することが好きという個性的なキャラクターがとても魅力的だ。
勤務中も「早くドラマが見たい」とぼやいたり、ことあるごとに「これはドラマでいうところの──」とメディアの知識を披露したりと、ボットユーモア溢れる語り口がとても面白い。人が苦手なのに関心はあって、時に努めて人のフリをする。人外の持つ人間っぽさと非人間らしさそれぞれがとても味わい深い。
自由になって命令を受けることのない状況で「非人間であるボットは人とどう関わっていけばいいのか」というテーマ、人が嫌いなのに仕事でなくても護るべき対象として認識していたり、メディアが好きなのは人と関わらずに人のことを知れるからだったりと矛盾する内面を抱えているところを、ASDの人に関心があるのに上手く関われないところと重ねて見てしまったところが正直ある。
だからこそボットは人間になりたがっているというのは人のエゴで、むしろ人間になんてなりたくないと思っている、というのはマーダーボット自身のアイデンティティであり、人とは違う存在としてのアンサーに思えた。そのセリフには勇気をもらった。
ごちゃごちゃとあれこれ述べたが、とどのつまり私は人外がヒトのフリをしているのが大好物なのである。
これから続編を大事に読もうと思う。