和月 "この場所であなたの名前を呼ん..." 2026年5月29日

和月
和月
@wanotsuki
2026年5月29日
この場所であなたの名前を呼んだ
NICU(新生児集中治療室)を舞台に、小さな生命に向き合う両親や医療従事者達の姿を描いた連作短編集。読みやすい文章に引き込まれ、一気に読み進めてしまった。 著者の実体験を基に生み出された作品だと知り、いま信用できない語り手のラジオで息子氏が元気に過ごしているエピソードを聴くと泣いてしまうかもなぁと思った。 元来庇護欲をかきたてられる存在(赤ちゃんや犬等)を巡る話に弱く、涙腺を刺激されることが多いのだけど、今回は「願う場所」で両瞼が腫れる程に涙が止まらなかった。 本作を読んでいると、産まれたばかりの生命は、大切に庇護されるべき存在であると同時に、懸命に生きようと足掻くたくましい存在なのだと気付かされる。また、お話の中では誰かの言動が別の誰かの原動力になる場面が何度も出てくる。人間は相互に影響を与えあいながら生きているのだと、普段当たり前すぎて見過ごしていることを再確認させてくれる一冊だった。
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