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10件の記録
和月@wanotsuki2026年5月29日読み終わったNICU(新生児集中治療室)を舞台に、小さな生命に向き合う両親や医療従事者達の姿を描いた連作短編集。読みやすい文章に引き込まれ、一気に読み進めてしまった。 著者の実体験を基に生み出された作品だと知り、いま信用できない語り手のラジオで息子氏が元気に過ごしているエピソードを聴くと泣いてしまうかもなぁと思った。 元来庇護欲をかきたてられる存在(赤ちゃんや犬等)を巡る話に弱く、涙腺を刺激されることが多いのだけど、今回は「願う場所」で両瞼が腫れる程に涙が止まらなかった。 本作を読んでいると、産まれたばかりの生命は、大切に庇護されるべき存在であると同時に、懸命に生きようと足掻くたくましい存在なのだと気付かされる。また、お話の中では誰かの言動が別の誰かの原動力になる場面が何度も出てくる。人間は相互に影響を与えあいながら生きているのだと、普段当たり前すぎて見過ごしていることを再確認させてくれる一冊だった。

結@yi_books2026年4月3日読み終わったNICUに纏わる連作短編集。 産まれるということ、そして元気に育つということ。とても奇跡的なのだと改めて。 様々な視点から描かれることによってNICUという特殊な場所が、遠いようで実は身近な場所のように感じられて、とても良かった。 どんな親も、どんな家族も、それぞれの痛みや苦しみを内包してこそ、家族であるのだなと思えた。







綾鷹@ayataka2026年1月31日日々、命の重みを実感する場所、NICU(新生児集中治療室)。 赤ちゃんが健康に育っていくことも、無事に生まれてくることも、すべてが奇跡。 与えられた人生は、1分1秒でも無駄にできない大切なもの。 当たり前すぎて誰もが忘れてしまいそうなことに、NICUという命の場所に身を置いたことで気付かされた、両親、看護師、清掃員、臨床心理士、医師 、7人の物語。 心ちゃんの話はあまりに切なくて大号泣。。 出産って本当に奇跡だよなぁ。 私の子供は障害がある訳じゃないけど、子供への無条件の愛おしさや、補強されていく親としての強さは共通のものなのではないだろうか。 ・もしも、目が見えにくかったとしても。もしも、耳が聴こえにくかったとしても。 今度こそ守りたい、と思った。もし問題となる箇所があったとしても、何もかもを受け入れて、できる限りのサポートをしたい。 自分がこの子にできることは何だろうか。わからない。今もそうだけれど、驚くほど、絶望してしまうほど、少ないのかもしれない。だとしても精いっぱいやらなくてはいけない。目の前で呼吸をして、小さな身体で眠るこの子を、なんとしても育てていくのだ。 ・そうか、ここはまだ始まりなのか。冒険と呼ぶかどうかは別にして、長い道が続いていくのだ。意外な場所から始まることになったけれど、きっとこれからも、予想もしないものが待ち受けているのだろう。わたしにも、この子にも ・わたしもずっと、祥真に会いたかった。 保育園のお迎えは、夫や、今は亡くなった義母に頼むことも多かったのだが、それでもわたしが行けることもあった。祥真はいつも、玄関に立っているわたしを見つけると、一瞬驚いた表情を見せ、それから笑ってこっちに近づいてくるのだ。短い距離を走って。 仕事でトラブルがあっても、祥真の寝顔を見れば、疲れは溶けていくように感じたし、この子のためならどんなこともできる、と本気で思えた。 Nで多くの親子の姿を見てきた。もちろん全員ではないが、保育器の前や、コットの前に立つとき、一瞬で表情を柔らかくする母親や父親がいる。きっと彼らは、自分の表情の変化にも気づかずに、目の前の最愛の存在を、ただ見つめている。 わたしもかって、そんな表情をしていたのかもしれない。 ・ずっと、18トリソミーではなかったのなら、どんなにいいだろうと思っていた。けれどもし、その願いが叶うことで、生まれてきた赤ちゃんが心ではなくなってしまうのならば、意味がなかった。心でよかった。心がよかった。 重なっている手の指。カーブした足。何もかもが特別で、愛おしかった。心だけの形。あらゆる部分が、可愛らしい。 ・「心」 両腕に少しだけ力を加えて、さらに抱き寄せるようにした。心の形。心の重み。心の柔らか さ。 「ありがとうね」 わたしは言った。 もういいよ、と思った。 ずっと生きていてほしかった。できるだけ長く。わたしの人生よりも長く。だけど、心が苦しいのなら、もう無理しなくていい。ずっと頑張ってくれていたんだから、もうこれ以上、頑張らなくていいんだよ。ありがとう。心、ありがとう。 ・母の愛は偉大だというような、この国にはびこっている母性神話は苦手だし、なくなればいいとも思うが、それでもたくさんの母親と話す中で、彼女たちの強さを目の当たりにする。もともとの強さというよりも、補強されていく強さを。 ・「乃愛の一日は、全部、もう返ってこない一日なのに。毎日、なるべく考えないようにして、見ようともしないで。もう絶対に見られないものなのに。どんなにお金を払っても、どんなに頑張っても、昨日や一昨日の乃愛には、絶対に会えないんですよね」 ・心ちゃんがいなくなった悲しみは、彼らにとっては、重たく、苦しいものだったはずだ。俺とは比較できないくらい。彼らの中からその悲しみが消えることは一生ないに違いない。それでも彼らはまた歩く。悲しみを消すのではなく、悲しみを背負いながら、生きていく。







