トラ "タタール人の砂漠" 2026年5月30日

トラ
トラ
@Toreads1234
2026年5月30日
タタール人の砂漠
タタール人の砂漠
ブッツァーティ,
ディーノ・ブッツァーティ,
脇功
澱み、ロマン、ブルシットジョブ。 20歳くらいで国境にあるバスティアーニ砦に配属される軍人・ドローゴの話。砦の目の前には砂漠があり、砂漠の奥にはタタール人がいて、いつ衝突するか分からない国境警備。 人生を味わう小説。思い通りにいかない、悩む、楽観主義に寄りかかって時間だけが過ぎていく、集団心理に巻き込まれる。 派手なエンタメが好きなので序盤(五分の一くらい)は情景描写多めで進まなかった。何度も寝落ちしてしまった。SNSでの紹介の言葉が刺さらなかったら、途中で投げ出していたかも。でも、今は読んでよかった、時々思い出すだろう本になった。 「その間にも、机の正面に掛かった振り子時計は人生をすり潰し続けていた。」(p.171) 「また一晩無駄に潰えようとしていた。」(p.264) 「さき」を「先き」、「戦」を「戦さ」と表記することにどんな意味があるのだろう。現地イタリアは分からないけど、日本では初版が2013年に出ている本でこうすることの意味が捉えられず、少しノイズに感じた。 以下ネタバレ 幻想を共有し、時間を潰していくところが苦しい。 ラッザーリの死を、ドローゴのせいにされていたが、ここから砦の人々の敵対感がより強くなる。 戦を期待しつつ、ないとわかっている。ここにいてはダメだと思いつつ、滞留してしまう。このアンビバレントな感じが本当に「人間」って感じがする。 時間のジャンプと経過の表現が上手くて、一瞬で20年くらい飛んだり、一晩にたくさんのページを費やしたり。その伸縮する時間感覚みたいなものも表現できてたと思う。 最後、解放されたのかもしれないけど、自分には辛い結末に思えた。
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