
橋本吉央
@yoshichiha
2026年5月30日
石垣りん詩集 表札
石垣りん
読み終わった
最初の方の詩は、狭い家に家族がぎゅうぎゅうに肩を寄せ合って暮らしている情景から始まる。それを美談として描くのではなくて、「受け入れながら生きていくしかない」という、人間のどうしようもなさをそのままに書いている感じがリアル。身体の不自由な父への心のわだかまりも、父が悪いのではなく、自分もいずれそうなっていくのかもしれないという諦観みたいなものが染み出ている。生々しいが、そのどうしようもなさにどことなく共感する。
「弔詞」という詩がすごく刺さった。
死者の記憶が遠ざかるとき、
同じ速度で、死は私たちに近づく。
戦争の記憶が遠ざかるとき、
戦争がまた
私たちに近づく。
そうでなければ良い。
今この時代に読むと、なおさら。
「私の前にある鍋とお釜と燃える火と」も良かった。女性が家事を担い続けてきた歴史を、否定するのでも美化するのでもなく、その営みへの愛情を大切にしながら、それでも社会に出ていく意味を書いている。