
トラ
@Toreads1234
2026年5月30日
ウォード博士の驚異の「動物行動学入門」 動物のひみつ
アシュリー・ウォード,
夏目大
動物の社会性とその生態についての分厚い本(700ページくらい)。まず文章が面白いし読みやすい。どれくらい正確なのかは分からないけど、動物の行動を「反射・本能」ではなく「感情・関係性」に寄せて説明していくから、物語のように話が進む。
種や食物連鎖などで関係しそうな動物を数珠繋ぎで紹介していってくれるから、意識が途切れない。
バッタの孤独相と群生相の話は、社会性が低いと感じている自分にとっては、拠り所にしたくなる話。
クジラや象など大きい動物はやっぱり人間的というか、わかりやすくて面白い。逆にアリやオキアミのように小さな生物は反射に近いような、でも種の存続のために最適化されてきた行動がわかって興味がわく。
最後はありがちだけどチンパンジーとボノボ。やっぱりここは「人間」について考える上でとても重要な要素だと思う。似てるけど違う、違うけど似てる存在。
各動物、性差がありそれがそのまま社会的な役割の差にもなっている。人間はここから脱しようと試行錯誤しているけど、日々SNSでは議論が起きている。でもそれはしょうがないなと思った。人間しかやらない(観測した範囲では)ことをやっているんだから、試しながら苦しみながら人間らしい営みを見つけていくしかないと思う。
他の動物と比べて、人という動物は脳とか思考、情緒みたいなものの能力が高い。ただ、それで種全体の幸福量みたいなものが増えていってるのかとか、どんか要素があればよりよい種族と言えるかなど、比較しながら「人」について考えるきっかけをたくさんくれた本になった。
「シロアリの側も絶えず偵察活動をしている。アリの隊列が近づいてくれば、アリたちの発するわずかな振動で察知できるよう常に警戒しているのである。」(p.124)
「鳥たちはいわば『伝統主義者』であり、自分の周囲の社会に影響を受けやすいのだと言える。」(p.263)
「六百万年というと非常に長い時間のように思う人も多いかもしれない。レストランで料理の提供を十五分待たされただけで怒り出す人がいる時代なのでそれも無理はない。」(p.560)
「チンパンジーは、自分と敵対する相手が背後から近づいて来た時には、たとえ、恐怖の表情を浮かべてしまったとしても、いったん気持ちを落ち着かせ、口を閉じて真剣な表情に変えてから後ろを振り向く」(p.582)
