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2026年5月30日
p12
「「失礼かもしれませんが、島のオメガ城にいらっしゃったのでは?」」
p20
「それは、<MAGATA Shiki>である。」
p23
「何故なら、ドクタ・マガタといえば、ドクタ・サイカワを連想するのが、フランスでは一般的だ、と聞いたからだ。」
p40
「「え?では、招待したのは、ドクタ・マガタではない、とお考えなのですか?」」
p42
「「どうかな……。彼女なら、アリストテレスとダ・ヴィンチとニュートンとオイラとアインシュタインを招待するでしょう。そういうことです。」」
p62
「「多大な期待ほど、つまらなさを引き寄せるものはありません。」」
p67
「それでも、オメガ城の噂は以前から聞いていて、有名な絵画が展示された写真に興味を持ったので、訪ねてみることにした、と話した。」
p82
「サイカワは、壁際を歩き、絵画を一枚ずつ見ているようだった。」
p85
「「七人というのは、ちょうど良い数ではありませんか。」」
p86
「「ぎりぎり、なんとかわかります。」サイカワは、英語で答えた。「でも、話すのは、ちょっと難しい。」」
p90
「「この城には、絵を見る目が確かな方がいらっしゃることはまちがいない。相当な資産といえると思います。」」
p90
「「この食堂のものは、描かれてまだ新しいものでしょう。私も全部を見たわけではありませんけれど、この上の階のホールには、一流美術館に展示されても不思議ではない作品が数点ありました。無造作に掛けられていましたが、保守は大丈夫なのでしょうか?」」
p95
「「マガタ博士。」サイカワが日本語で呟いた。」
p96
「「貴方がいらっしゃるとは思いませんでした。意外です。私が意外に思うことって、珍しいのですよ。」」
p99
「「いえ……、これは蛇足。」彼女は首を傾げ、片手で長い髪をゆっくりと払う。「これから起こることに、ご注意される方がよろしいと思います。でも、私にはどうすることもできません。人間というものは、そういうものなのです。ほとんど無力、ただ呼吸をし、老化し、死んでいくのですから、一時の迷いも、トゥリヴァアルな揺らぎ……。では……。」」
p108
「「私のごく近い人にです。私は、その人の代理で来ました。もちろん、私が参加することは事前に主催者に知らせてあります。代理でも良いという連絡も受けました。」」
p108
「「私たちは、見えるところだけを見せられている、ということでしょうか。」」
p115
「<The Black Widowers?>」
p115
「「そうか、黒後家蜘蛛の会ですね?」」
p137
「「私は、法的には結婚をしておりませんが、パートナはいちおういます。」サイカワは答える。」
p138
「「私は結婚していて、パートナは女性だよ。」シモンが言った。」
p141
「「少なくとも、四人は生きている。」」
p145
「「wですか?」」
p162
「「アガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』なら、映画で見たことがあります。」」
p164
「「思考は現実に直接的に影響しない。」」
p164
「「未来を変えるには、行動が必要ってこと?」」
p180
「ニモイは、ロッカと壁の間のスペースに立てかけられていた、長い円筒形のケースを取り出した。」
p181
「「遊園地の施設のような設計ですね。」サイカワは言った。」
p186
「「光の三原色ですね。」」
p211
「「電気を見るための測定器ですよ、電圧、電流、抵抗などを計る道具で、私は、小学三年生のときに買ってもらいました。」」
p214
「「もう、野蛮なことは起こらない、と私は考えています。私を信じてもらえるかどうかは、私の問題ではありませんが。」」
p214
「飾ることのない言葉は、いつも現実を客観視しているからこそ出るもののように感じられた。」
p228
「「とにかく、惨劇というのか……。」」
p244
「動機を問うのか、あるいは、方法を問うのか。それは観察したものが実現化の可能かどうかという無意識の評価によって、異なってくる。」
p248
「「このように、実際の可能性を、観察された事項から導くことで、しだいに現実が見えてくるものです。客観性が大切です。」」
p268
「「研究所です。」サイカワは答える。」
p273
「「マガタ研究所です。」」
p283
「「私は写真はご遠慮します。」彼は片手を広げた。」
p296
「「社会性の欠如が垣間見えますが、おそらく子供の頃の環境かな。」」
p305
「それでも四半世紀以上まえのことだった。」
p306
「近くのキャビネットに、円筒形のケースが立てかけられていた。城の建築図面が入っているものだ。」
p313
「「ええ、東京で。」」
p315
「「先進的かどうかはわからない。ただ、自由というものを知っている人たちだったとは思います。」」
p319
「「招待所は、その、直接ではないのですが、母のところへ巡ってきました。それで、最後は私のところへ。私が母の代理として来ました。」」
p324
「「人間がトゥリヴィアルだからでは?」」
p324
「「諦めている、というよりは、最初から期待していない。」」
p330
「ドクタ・マガタなら話はまだわかるが、ドクタ・サイカワが異国の地でこれほどのファンを持つとは想像もしなかった。」
p338
「「えっと、たしか、先生の妹さんだったのでは?」」
p342
「「できれば、遠慮したい。」」
p344
「「あ、その最後の漢字、平和のヘイですよね。フランスだとエイだけど。」」
p352
「「この人。」サイカワは囁くような声で言った。」
p365
「「そう……、でも、たとえば、私一人が、そうか、それが真実か、と納得しても、私にとっては解決です。」」
p366
「「明日のことはわからない。」サイカワは首をふった。」
p369
「話の聞き役として、彼は特別な能力を持っているとしか思えない。」
p370
「「黒後家蜘蛛の会の殺人。」」
p374
「「この先に、私が知っているブティックがある。服を買っていこう。」サイカワが言った。」
p378
「たしかに自分だが、これは自分史上最高の自分ではないだろうか。」
p380
「「オメガ城の殺人現場で、私のハンカチが血で汚れた。その地を警察に持っていこうと思います。それから、ウヅキさんのベッドに落ちていた髪の毛を持ってきたから、これも警察に提出します。そう話して下さい。主語は私ではなく、貴女自身。」」
p383
「「あまり、その、気合を入れない方が良い。いつも、力を抜いて、落ち着いて、ぼんやりとして、集中せず、あちらこちらを見て、いろいろ考えること。」」
p397
「「不定です。わからない。不可能ではありませんが、不定です。」」
p399
「「ママの横の人?後ろの人?」」
p401
「「発生練習した方が良い。」彼は冷静な口調だった。「いざというときに、声なんか出ないものです。」」
p403
「「そう、良いところに気づいた。」サイカワが呟いた。」
p404
「「疑わしいものを調べ、否定的な証拠を集め、それらが間違っていることを確かめる。これが科学のやり方だ。反証を丹念に潰していくことの方が、正解に近づける。一方で正しさを立証しようとする試みは、宗教的なアプローチといえる。神は存在し、奇跡を起こす、という証拠を必死に集める。信者は、自分たちが信じたいものにしか目を向けない。ここに宗教のジレンマがある。」」
p407
「それは、彼の言葉がいつも、少し未来を言い当てていたからだろう、ドクタ・マガタが私たちに忠告したのと同じように。そうだ、同じ機能というか、エネルギィを感じる。」
p409
「「それが、最も可能性が高い。」」
p410
「私は絶句してしまった。」
p411
「「警察に言っておいたのに。」彼は呟いた。「本気で護衛しなかったようだ。」」
p412
「「私だけが知り得た情報が、それだった。貴女は、たしかに知らなかったから、解決に必要な条件が揃わなかった。」」
p414
「サイカワが倒れている。やはり、撃たれたのだ。ゆっくりと顔を上げて、相手を見た。それは、まさかの人物だった。」
p415
「驚いたことに、サイカワはフランス語を話していた。」
p416
「「サイカワ先生!」私は叫んだ。悲鳴に近い声だっただろう。」
p419
「そして、今日執筆した下書きを誰に見せたら良いのか、と考えた。」
p422
「「そうか、だから、黒後家蜘蛛の会だったのですね。」」
p426
「「私は母の代理で来たと話しましたが、実は招待されたのは、私の父だった。父と母は、離婚しているし、表向きは不仲だと周囲に認識させている。ドクタ・マガタは、母のことをよく知っている。だから、その信者にも、その情報が広く流れていたはず。母も、夫を殺すチームに勧誘できるのではないか、と勘違いしたのでしょう。」」
p426
「「もちろん、ネットの集会に参加するような信者ではなかった。それに、母は今も父のことを愛していて、別居はしていても、ときどき会っている。父は、面白がって、招待状を母に見せた。その話を、私が聞きつけて、代理で参加を決めた、ということ。」」
p427
「「ドクタ・マガタに会えるかもしれないから。そして、それは報われました。」」
p427
「「セザイマル・ベニコです。調べれば、いくらでも情報が得られる。本を書くときに、インタヴューしたら良い。喜んで答えると思います。」」
p427
「「綴りが違う。イニシャルは、V・C。どういうわけか。」」
p432
「「うわぁ、ローマの休日?」思わず呟いてしまった。王女様のような印象だったからだ。」
p432
「「セザイマル・ベニコでございます。はじめまして。」」
p433
「「あ、いいえ、私は会っておりませんの。もともと、それほど親しいわけでもありません。そう、若い頃の腐れ縁と申しますか、あ、腐れ縁ってわかります?」」
p433
「「まあ、あの方は、なんというのか、悪い人ではないのですが、うーん、まっとうな職業にはお就きにならなかったのね。それでも、とても優秀な人ではあるので、いちおうは信頼しておりますの。」」
p434
「「あぁ……、失礼、ごめんなさいね。いえ、やっぱり、そうなのですね。いえ、あの方は、ソウヘイさんではありません。私がいけなかったのね、代理を頼んでしまい、名前を使うことを許可いたしましたの。ソウヘイさんにも、いちおうですけれど、極めて消極的にお話ししておきました。だって、もしかして、警察から電話があるかもしれませんものね。」」
p434
「「ですから、私の知り合いの方です。ソウヘイさんよりは、ずっと、えっと……、十七かしら、それくらい上なんですよ。ですから、ソウヘイさんは、あの方のような、おじいさんじゃありません。もっとね、ずっとハンサムなのよ。でも、彼、ほとんど籠りっきりでいらっしゃるから、最近は写真とか動画とかは、全然世間に出回っておりません。残念ですけれど、探しても見つからないと思うわ。」」
p434
「「でも、貴女にとっては、良いアドバイザ、良い先生だったのでしょうね、きっと。あの方は、そうなんです。役者というのか、なんでも演じてしまうの。もともと、ソウヘイさんが子供の頃に、ずいぶん可愛がって下さったんです。だから、あの方のなにかしらのものが、ソウヘイさんに受け継がれているのは、ええ、本当なんですよ。たとえば、ポーカ・フェイスのところとか、人にわからないジョークを言ったりとか……。」」
p435
「「えっと、そう、あの方は、マガタ・シキと面識があると話していました。まだ、彼女が十代の頃だったと思います。シキさんは、一度会った人は忘れないはず。その後、あの方は、あの研究所で働いていたこともあるんです、しかもご夫婦ともに。研究所では、直接人に会うことはできなかったそうですけれど。でも、シキさんは彼のことを覚えていて、あの方がソウヘイさんの代理で来たことを理解されたのです。」」
p435
「「うーん、そうね。私の言うことならなんでもきく、というのが表向きの姿勢ですけれど、実のところは、なにか宝物?そう、たとえば絵画とかに興味があったのではないかしら?」」
p436
「「ええ、まあ、そうですね。人一倍好きだと思います。えっと、なにか、巻物にして持ち出したりしていませんでしたか?」」
p436
「「建築の図面を借りたとは、言っていました。」」
p436
「「あらまぁ。」彼女は、そこでまた、ほほほと笑った。」
p436
「「漢字でした。五文字。」」
p436
「「まあ、それじゃあ、もしかしてご自分の本名を書かれたのかしら。貴女の前で噓が書けなかったのかしら。いえ、きっとサイカワのサイの漢字が思い出せなかったんだわ。」セザイマルは、ほほほと笑った。」
p437
「「できますよ。私、あの子の母親なんですから。」」
p437
「「それさ、ごめんなさいね。諦めた方がよろしくてよ。あの方は、そういう方なの。すっといなくなっちゃうんです。大勢が泣かされました。」」