
okataro
@okataro007
2026年5月30日
祈りからさらに遠い町
日向理恵子
読み終わった
表紙に惹かれて読み始めた一冊。とある町の、少し不気味な家に三人家族が引っ越してくるところから物語ははじまる。終始、不気味な町の空気が漂っていて、子どもの世界と大人の世界が噛み合っていない感じが、よりいっそう気持ち悪さを感じさせた。ずっと何かを隠されている感覚。隠されては、少し開示しながらまた誤魔化されていくような。
主人公のチィメイは、学校の友達や近所の人たちと純粋に接する一方で、過去の戦争や災いがこの町に残していった傷が、幻のように現代と交差し、不吉な出来事に次々と遭遇してしまう。チィメイの視点だけでなく、父や母の視点も織り交ざることで、多方面から「不安そのもの」を鑑賞しているような気分になる。
なんとなく日本やアジアの雰囲気を感じさせる一冊で、ファンタジーでありながら、現実でも言葉や風習によって似たようなことが起こりそうな気にさせられる物語だった。