祈りからさらに遠い町
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彼らは読みつづけた@findareading2026年6月25日読み終わった電子書籍*本の中の読書* 《「いらっしゃい。ひと箱買っていきな」 声にびくりと肩をすくめ、メイはバッグを腹に抱き寄せた。きょろきょろと声の主を探す。まるでチィメイの振る舞いみたいだ。 「おや、これは失礼。常連客が来たのかと思ったもんで」 レジカウンターの向こうで本を読んでいた人物が、小さな眼鏡をずらして額のしわを持ち上げた。》 — 日向理恵子著『祈りからさらに遠い町』(2025年9月Kindle版、PHP研究所)






okataro@okataro0072026年5月30日読み終わった表紙に惹かれて読み始めた一冊。とある町の、少し不気味な家に三人家族が引っ越してくるところから物語ははじまる。終始、不気味な町の空気が漂っていて、子どもの世界と大人の世界が噛み合っていない感じが、よりいっそう気持ち悪さを感じさせた。ずっと何かを隠されている感覚。隠されては、少し開示しながらまた誤魔化されていくような。 主人公のチィメイは、学校の友達や近所の人たちと純粋に接する一方で、過去の戦争や災いがこの町に残していった傷が、幻のように現代と交差し、不吉な出来事に次々と遭遇してしまう。チィメイの視点だけでなく、父や母の視点も織り交ざることで、多方面から「不安そのもの」を鑑賞しているような気分になる。 なんとなく日本やアジアの雰囲気を感じさせる一冊で、ファンタジーでありながら、現実でも言葉や風習によって似たようなことが起こりそうな気にさせられる物語だった。








