みゆわ "仮面の告白" 2026年6月13日

みゆわ
みゆわ
@miyuwa
2026年6月13日
仮面の告白
仮面の告白
三島由紀夫
浅薄な私は三島由紀夫といえば東大で全共闘と討議した、くらいのイメージしか持ち合わせていなかった。彼のエッセイは読んだことはあったが、彼自身の性の話は全くと言っていいほど知らなかった。 そしてこの本のあらすじも知らずに読み始めると驚いた。性自認や性的趣向を軸とした話だったからだ。 同性愛に目覚めてゆき、その正常性について葛藤しながら成長していく主人公の一人称視点で語られる。本を読み始めてから裏表紙を思い出したように確認すると、なんとこれは三島の半自伝小説とのこと。それも納得するほど主人公の思考や感情の揺らぎが精細に描写されていた。その描写も超絶技巧的と言っていい。一つの要素も取りこぼすまいとする気迫さえ感じる語彙の数々に終始圧倒された。なんというか、「これぞ純文学」と思わざるをえないような「格式」を文章に感じた。 性自認に対する葛藤をここまで精緻に表現している小説は少ないのではないだろうか。今ではその手の小説でトップは朝井リョウの「正欲」だと思っているが、「仮面の告白」は金字塔と言ってもいい。
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