橘海月 "窓の魚" 2026年5月31日

橘海月
橘海月
@amaretto319
2026年5月31日
窓の魚
窓の魚
西加奈子
現代版『薮の中』さながらな男女四人の物語。二組のカップルが温泉旅行に行く一泊を描いているだけなのに、語り手が変わると雰囲気がガラリと変わり個人の見え方も変わる。物語は翌朝の死体も含めて終始不穏な雰囲気が漂う。ナツから始まりアキオで終わった後は、再びナツを読みたくなること必須だ。 全編を通してやりきれなさが付き纏う。うまくいかないな、と。彼らはそれぞれに必死で恋人に愛情があったりなかったりと温度差はあるものの、心底傷つけたいと思っているわけではないのにとかくすれ違う。一方の話を完全に聞き逃し、不用意な言葉も放つ。自分の事で手一杯で、それぞれの事情に強く囚われすぎて、相手を思う余裕がないのが悲しい。
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