
ユメ
@yume_bookworm
2026年3月6日
湯気を食べる
くどうれいん
読み終わった
感想
読むのを楽しみにしていたくどうれいんさんの食エッセイ、期待に違わずよかった。
「解釈するように味わってゆっくり食べた」や「ピザは完全に円グラフだ」など、くどうさんらしい独特で素敵な表現に出会うたび、自分の頬が緩むのが分かる。思えばくどうさんのエッセイを読むとき、私はいつもニコニコしているような気がする。
「自炊は調律」という文章にはハッとさせられた。私はどちらかというと余裕がなくなるほど食生活が疎かになってしまうタイプなのだが、自炊を大切にしているひとに対して、例えば「私は自炊が苦手で……」と口にすることで相手を傷つけてしまうかもしれない、という視点を欠いていたことに気付かされたのだ(今まで実際誰かにそういう発言をしたことがあるわけではないが、本書を読まなければ、いつか自炊が上手なひとを羨むような言動をしてしまったかもしれない)。ひとが時間をかけて尊重してきたことを自己卑下の道具にするのはよくない、という料理に限らず大事なことを改めて認識する機会を、くどうさんに贈ってもらった。
「いつだってわたしが決めて食べるものは、わたしのためのまかないなのだ」という文章も好きだ。カバーにも描かれているたまご丼は、すっかり私にとっても定番の「まかない」となった。





