はるき ⚠︎ネタバレ有⚠︎ "本と鍵の季節" 2026年5月31日

本と鍵の季節
本と鍵の季節
米澤穂信
シリーズと知らず、二作目を読んでからの一作目になってしまったけど、問題なく楽しめた。 むしろ、この物語を通して尚、二作目の距離感な二人が良い。 謎解きと並行して、謎の向こうにある人間関係や思惑に触れていく事になる。 謎を解き明かして、人の心もスッキリ解決!といかない。 それは、依頼してきた生徒だけでなく、堀川と松倉にも言えることで。 視点や思惑というのは、その人の為人から来るものだからね。 二作目同様に、「日常の謎」と言うには、話題の重量が少々大きいように思う。 だって、主人公は高校生だ。 「大人」までのカウントダウンが始まっている、けれど、確実に子どもである年齢。 それなのに、一つ一つの物語を見ると、有り得ないと言いきれないところが悲しい。 身体は家庭の負荷を背負えるほどに成長し、時に大人になる事を迫られる。 まだまだ守られるべき存在なのに。 実際に、大人と呼ばれる日々を積み重ねていくと、全ての子どもが「子ども」と定義される不可逆的時間を、心理的身体的安全性が担保された場所で過ごしてほしい。 そう、願わずにはいられない。 松倉が、高校生という人生で見たら一瞬の日々の中で、過去を共有したいと思える相手に出会えたこと。 彼を高校の図書室という、学生の象徴のような場で待っている友人を得たこと。 それを僥倖と呼ばず、なんと呼ぶのか。 二作目から読んだので、堀川が待ちぼうけせず済んだ事は知っているものの、最後の一文に喉奥がぐっとなった。
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